嫉妬をとめられない人

「批判や悪口はゼロにできない」だから受け流す

片田珠美・精神科医
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 人に嫉妬心を抱かないための最後の方法は、簡単に言えば「諦める」ということである。だが、単に諦めるのではなく、自分の関与する範囲を決め、できることは努力するが、それ以外のものには執着しないということだ。

 たとえば、どれほど仕事に打ち込み、努力して取り組んでも、順調に出世できるかどうかはわからない。自分より劣っていると思っていた同期が上役に気に入られて、自分より出世することもあるかもしれない。恋愛でも、好きな異性が、自分より容姿が劣っていると思う友人を選ぶかもしれない。

 こんな話があった。数年前、某有名国立大学の医学部で教授選挙が行われたとき、准教授と講師のふたりが教授候補に挙がった。このふたりはどちらも才能があり、近いうちに教授になると見られていた。

 実際、その選挙でどちらが教授に選ばれてもおかしくなかったが、それだけにふたりの争いは激しかった。互いに自分のほうが優れていると自己主張し、互いを中傷し合って火花を散らした。怪文書も飛び交った。選挙を何度やっても票が割れてしまい、なかなか決まらなかった。

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片田珠美

精神科医

 広島県生まれ。大阪大学医学部卒。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。パリ第8大学精神分析学部で学ぶ。精神科医として臨床に携わり、社会の根底に潜む構造的な問題を精神分析的視点から研究している。「他人を攻撃せずにはいられない人」(PHP新書)、「高学歴モンスター」(小学館新書)など著書多数。