
政府の高官を退いた人の個人メールアドレスは、サイバー攻撃者にとって格好の標的だ。現役の高官と強いつながりを維持しており、政権内の事情にも詳しい。しかも、退任後は、強固なサイバーセキュリティー対策が施された政府のITシステムを使えないので、攻撃を仕掛けやすい。
朝鮮半島では不透明な状況が続く。北朝鮮が繰り返しミサイルを発射している背後でサイバー攻撃が行われている。北朝鮮が今年7月中旬から8月中旬にかけて、韓国政府の元高官らを標的にしたサイバー攻撃を行っていたと、韓国のサイバーセキュリティー企業が指摘した。
この企業は、北朝鮮からのサイバー攻撃を専門に監視している「イシュー・メイカーズ・ラボ」だ。同社によると、北朝鮮のハッカーは、韓国の元大使、軍の退役将校、外務省や統一省の元職員に「なりすましメール」を送り、偽のログインページに誘導、入力された情報を盗んだという。
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松原実穂子
NTTチーフ・サイバーセキュリティ・ストラテジスト
早稲田大学卒業後、防衛省で9年間勤務。フルブライト奨学金により米ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院で修士号取得。その後、米シンクタンク、パシフィックフォーラムCSIS(現パシフィックフォーラム)研究員などを経て現職。国内外で政府、シンクタンクとの意見交換やブログ、カンファレンスを通じた情報発信と提言に取り組む。