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増税後の「隠れた値下げ圧力」お店の負担が増えた?

熊野英生・第一生命経済研究所 首席エコノミスト
キャッシュレス決済のポイント還元を知らせるポスターを掲示する靴店=福岡市博多区の川端通商店街で2019年10月1日、田鍋公也撮影
キャッシュレス決済のポイント還元を知らせるポスターを掲示する靴店=福岡市博多区の川端通商店街で2019年10月1日、田鍋公也撮影

 消費税率が10%に上がって1カ月が過ぎた。実は増税が「値下げ圧力」につながっていることに注意したいと思う。

 10月の経済データが発表され始めた。まず、東京都区部の物価上昇率(10月中旬速報値)である。消費税要因を含めた消費者物価指数(生鮮食品は除く)は前年同月比0.5%の上昇だった。増税前の9月も同0.5%の上昇。増税前と増税後の物価の前年比上昇率が同じということの意味を考える必要がある。

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第一生命経済研究所 首席エコノミスト

1967年山口県生まれ。横浜国立大学経済学部卒業。90年、日本銀行入行。調査統計局などを経て、2000年、第一生命経済研究所入社。11年4月から現職。専門は金融政策、財政政策、金融市場、経済統計。