
10月末を予定していた英国の欧州連合(EU)離脱が来年1月末に延期になった。離脱延期は今回で3回目とあって、正直「またか」という気もする。ただ、10月半ば以降、ジョンソン英首相がEUと新たな離脱協定で合意するなど事態が目まぐるしく展開する中で、ロンドンでは「ついに離脱か」という機運が急激に高まっていくのを感じた。
最大の山場は、英メディアが「スーパーサタデー(特別な土曜日)」と呼んだ10月19日だった。この日、ジョンソン首相はフォークランド紛争の起きた1982年以来となる下院本会議の週末開催を決行した。
英議会は賛否が拮抗(きっこう)
というのも、この日までにEUと合意した離脱協定を議会が可決しないと、国内法によってEUに離脱期限の延期を申請する義務が生じるためだ。ジョンソン首相にとっては、協定を可決して、公言通り10月31日の離脱を確実なものにする唯一で最大のチャンスだった。
一方、残留派にとっても否決は譲れない。前日夜までは可決は難しいとの論調が目立った英メディアだった…
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横山三加子
毎日新聞欧州総局特派員(ロンドン)
1981年、埼玉県生まれ。法政大学社会学部卒。2004年、毎日新聞社に入社。岡山支局、大阪本社経済部を経て13年から東京本社経済部。電機・通信業界、経済産業省や財務省、財界などを担当。19年10月から現職。