経済記者「一線リポート」

「インドめぐり日中が綱引き」RCEP交渉どうなる?

土屋渓・毎日新聞経済部記者
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RCEP首脳会議の記念撮影で並ぶインドのモディ首相(左端)と安倍首相(右端)ら各国首脳=タイ・バンコク近郊で11月4日、AP
RCEP首脳会議の記念撮影で並ぶインドのモディ首相(左端)と安倍首相(右端)ら各国首脳=タイ・バンコク近郊で11月4日、AP

 日中韓や東南アジア諸国連合(ASEAN)など16カ国が参加する東アジア地域包括的経済連携(RCEP=アールセップ)は11月4日、目標としていた年内妥結を断念した。交渉の大部分はまとまったものの、市場開放に慎重なインドが土壇場で離脱を示唆したためだ。

 インドの扱いを巡って日本と中国で考え方の隔たりも目立っており、世界の人口の約半分を占める巨大な貿易圏の完成が近いとの実感は乏しい。インドは「最後までゲームから降りないしたたかな国」(経済産業省幹部)だけに交渉は一筋縄ではいかなそうだ。

 タイのバンコク近郊で開催された首脳会議の共同声明では、インドを除いた15カ国が、2国間の関税撤廃協議や知的財産保護など全20分野の交渉をほぼ終え、2020年の署名を目指して各国が条文精査の作業に入ると宣言した。交渉は13年に始まり、昨秋の共同声明では合意分野がほとんどないまま妥結は先送りとなっていた。結果だけみれば、この1年で協議は大きく進展したと言える。

インドは「現状では参加しない」

 しかし、今年もインドが態度を軟化させることはなかった。「インドとしてはRCEPへの懸念がある」。11月4日のRCEP首脳会議直前に開かれた日インド首脳会談。安倍晋…

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土屋渓

毎日新聞経済部記者

 1977年、ドバイ生まれ。2002年早稲田大法学部卒、毎日新聞社入社。水戸支局、東京本社学芸部などを経て14年から経済部。証券業界、日銀を担当。16~17年は大阪本社経済部で電機メーカーなどを取材。18年に東京経済部に戻り、19年5月から通商問題や国内産業、エネルギー、農業などの関係省庁を束ねる経済産業グループのキャップ。