名家のルーツ

コダック代理店からバイオ関連へ 老舗・長瀬産業の変革

森岡浩・姓氏研究家
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長瀬産業の東京本社=2019年11月6日、田中学撮影
長瀬産業の東京本社=2019年11月6日、田中学撮影

 大阪を拠点とする化学品専門商社の長瀬産業は2011年に、倒産したバイオ関連企業の林原グループを総額700億円で買収した。当時、自社の最終利益の6年分を投じて新たな事業の柱を作るための大勝負に出たことで注目を集めたが、長瀬産業は創業180年を超える老舗で、当初は染料を扱っていたオーナー会社だ。

 1980年代までは、写真フィルム会社の米イーストマン・コダックの日本総代理店を務め、フィルムの輸入を一手に引き受けていた。

 1972年刊行の「長瀬産業社史」によると、創業家の長瀬家は藤原姓で近江国滋賀郡和邇(わに)村(現滋賀県大津市)に住み、戦国時代に明智光秀に仕えていた長瀬修理が祖だという。修理は光秀に従って丹波亀山(現京都府亀岡市)に転じたが、光秀の死後は和邇村に戻り、代々、村の素封家だった。

 江戸時代中期、7代目重助の次男、伊兵衛は京に出て西陣の生糸・呉服問屋「鱗形(うろこがた)屋」に奉公した。のれん分けで千本通一条東南角(現京都市上京区)に呉服商を開業すると、主家の屋号をもらって鱗形屋伊兵衛(通称「鱗伊」)と称した。

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森岡浩

姓氏研究家

1961年、高知県生まれ。早稲田大学在学中に独学で姓氏研究を始める。文献調査やフィールドワーク、統計を用いた実証的手法を用いる。2017年4月からNHK「人名探究バラエティー 日本人のおなまえっ!」に出演。著書、多数。