藻谷浩介の世界「来た・見た・考えた」

イタリア・ジェノバ「コロンブスを生んだ街」の史話

藻谷浩介・地域エコノミスト
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ジェノバ港に浮かぶクルーザー(写真は筆者撮影)
ジェノバ港に浮かぶクルーザー(写真は筆者撮影)

 地中海に面した北イタリアの港湾都市・ジェノバ。海洋通商を行う共和国として多年独立を保った街であり、新大陸に到達したクリストファー・コロンブスの故郷でもある……。というようなこと以上には予備知識もなく、電車の乗り換えを機に立ち寄ってみた。美しい風光の陰に積み重なった歴史の因果を知ったのは、帰国して後のことである。

 ミラノ中央駅から特急電車で1時間半。筆者はイタリア半島を南下し、平日朝10時前のジェノバ・プリンチペ駅に到着した。途中まではロンバルディア平原を走り、最後に険しい山容の山脈を越えるが、峠の標高は450メートルとあまり高くない。しかも鉄道や高速道路は直線的にトンネルを抜けるので、山道を通ったという実感はなかった。

 山道というなら、ジェノバの市街地の方がむしろ山道だらけだ。地中海に面した斜面に広がっており、ほとんど平地がない。神戸を思い起こさせるところもあるが、歩いてみると神戸よりもさらに市街地は狭く、埠頭(ふとう)以外の埋め立て地も見当たらない。「巨大な熱海」と表現した方が、地形の描写としては正確だろう。

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藻谷浩介

地域エコノミスト

1964年山口県生まれ。平成大合併前の約3200市町村のすべて、海外114カ国を私費で訪問し、地域特性を多面的に把握する。2000年ごろから地域振興や人口問題に関して精力的に研究、執筆、講演を行う。著書に「デフレの正体」「里山資本主義」ほか多数。国内の鉄道(鉄軌道)全線を完乗した鉄道マニアでもある。