地域活性化の挑戦者たち

「世界遺産ある上野からかっぱ橋へ」地元経営者の誘客

櫻田弘文・クエストリー代表取締役
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2016年に世界文化遺産に登録された国立西洋美術館=筆者提供
2016年に世界文化遺産に登録された国立西洋美術館=筆者提供

 東京都台東区の上野公園にある「国立西洋美術館」が、世界文化遺産に登録されたのは2016年7月のことだ。同館は、近代建築の三大巨匠の一人とされる建築家ル・コルビジェの作品で、ル・コルビジェが活動の拠点としたフランスを中心に7カ国17施設が一括登録された。

 日本では官民が連携して登録へのPR活動を展開したが、中でも民間の活動の一つを率い、登録決定後も上野を含む台東区の活性化活動を進めるのが、同区のかっぱ橋道具街で店舗の設計・施工会社の会長を務める野原肇さん(78)だ。台東区内で観光客が回遊できる仕組み作りを目指し、巡り巡ってかっぱ橋道具街が活気づくよう取り組んでいる。

 JR上野駅に隣接する上野公園は、桜並木や不忍池など人々の憩いの場があり、上野東照宮などの歴史的建造物や、日本を代表する博物館、美術館、音楽ホール、動物園などの文化施設が集まる場所でもある。もともと多くの観光客が訪れるが、西洋美術館の登録と同時に台東区が「世界遺産のあるまち」をキャッチフレーズに掲げると、1日約500人だった同美術館の来館者は同約2000人に増加。現在は文化施設として適正といわれる1日600人前後が来館するという。

 台東区には、上野公園とアメ横などの商業地区からなる上野地区や、浅草寺の門前町が有名な浅草地区があり、観光客の誘致には事欠かないように見える。しかし区内全体を見渡せば、昔からある商店や商店街は減少傾向で、地域の活性化が大きな課題となっていた。上野と浅草の間に位置する、業務用調理器具類の品ぞろえの豊富さで有名なかっぱ橋道具街もその一つだ。

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櫻田弘文

クエストリー代表取締役

1955年山梨県生まれ。日本大学卒業後、78年に販売促進の企画・制作会社に入社。2001年、クエストリーを設立して独立。中小企業経営者向けの「クエストリー・ブランディングクラブ」を主宰する他、数多くの専門店や飲食店のブランディングを実践的に指導している。