名家のルーツ

「お茶づけと東海道五十三次」食卓彩る永谷園の歴史

森岡浩・姓氏研究家
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永谷園の代表的な商品=2019年11月20日、田中学撮影
永谷園の代表的な商品=2019年11月20日、田中学撮影

 永谷園といえば「お茶づけ海苔(のり)」で有名だ。筆者は小学生のころ、1袋に1枚ついてくる歌川広重の「東海道五十三次」の浮世絵をあしらったカードを集めていたことを思い出す。

 当時、切手になっていた「箱根」や「蒲原」などしか見たことがなく、初めて見る図柄が楽しみだった。父がカードにある応募券20枚を同社に送り、起点の日本橋と終点の京三条大橋を含む五十三次の55枚が手に入って図柄と地名をすべて覚えた。同じような記憶を持つ人は多いのではないだろうか。

 永谷園の創立は1953(昭和28)年だが、これは株式会社化した年だ。初代社長の永谷嘉男は永谷家の10代目にあたる。

 永谷家はもともと高級茶葉の産地として知られる宇治地方の山城国湯屋谷(ゆやだに)村(京都府宇治田原町湯屋谷)で代々茶葉を生産する旧家だった。宇治製煎茶製法の祖といわれる永谷家初代の宗七郎義弘(宗円)の屋敷跡は、湯屋谷村の鷲峰山(じゅぶせん)のふもとに東南に延びる細長い谷の奥にある。おそらく、同家はその地形から「永谷」と名乗ったのだろう。

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森岡浩

姓氏研究家

1961年、高知県生まれ。早稲田大学在学中に独学で姓氏研究を始める。文献調査やフィールドワーク、統計を用いた実証的手法を用いる。2017年4月からNHK「人名探究バラエティー 日本人のおなまえっ!」に出演。著書、多数。