けいざい多面鏡

「ヤマダに身売り」大塚家具の久美子社長はなぜ続投?

今沢真・経済プレミア編集部
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大塚家具の子会社化を発表し、記者会見で握手を交わすヤマダ電機の山田昇会長(右)と大塚家具の大塚久美子社長=2019年12月12日、小川昌宏撮影
大塚家具の子会社化を発表し、記者会見で握手を交わすヤマダ電機の山田昇会長(右)と大塚家具の大塚久美子社長=2019年12月12日、小川昌宏撮影

 父娘が対立した「お家騒動」から4年余。業績が急降下していた大塚家具は12月12日、家電販売大手のヤマダ電機から51%の出資を受け入れ、同社の子会社になると発表した。事実上の「身売り」だが、大塚家具の不振の原因を作った大塚久美子社長(51)は続投が決まった。なぜなのか。

 大塚家具は業界の競争激化や、お家騒動によるブランド力低下が響いて経営が悪化。父勝久氏との争いの末に2015年に大塚氏が社長に復帰すると、翌16年12月期から3年間で合計約150億円の営業赤字を計上した。その後も売り上げ減少に歯止めがかからず、資金繰りへの不安が加速していた。

 12日午後、ヤマダ電機の山田昇会長(76)と並んで記者会見した大塚氏は冒頭、「構造改革を行い、黒字まであと一歩のところまできた」と語った。大塚家具の今年1~9月期の営業赤字は29億円。6月末に31億円あった現預金は9月末に21億円まで減った。資金ショートが危ぶまれる惨状だったが、その実態とはかけ離れた発言だった。

 ヤマダ電機という「身売り先」が現れたため、今回、大塚家具は経営破綻を免れた。ただし、破綻寸前まで業績を悪化させたことを考えれば、トップは身を引くのが一般的な経営責任の取り方だ。このため、報道陣からの最初の質問は、大塚氏に対し「今後も社長を続投するのか」だった。

 大塚氏は「引き続き(社長として)全力を尽くし、貢献していきたい」と即答した。報道陣からすぐさま「経営陣の刷新なくして(大塚家具の)再生は不可能という指摘もあるが、社長にとどまる理由は?」との二の矢が飛んだ。大塚氏は「今回の資本提携を軌道に乗せる責任がある。それをやり遂げることが経営陣の責任と考えている」とかわした。

 大塚氏の横に座った山田会長は「続投」を認めたことを明らかにしたうえで、「(大塚氏に)チャンスを与えないといけない。2人で話して、来期の黒字化という目標を立てた。達成のために私どもも全力で支援する」と語った。

 大塚家具は決算期を12月期から4月期に変更することを決めている。山田氏の発言の「来期」は21年4月期を指すとみられる。その損益が、大塚氏の去就を決める目安になるわけだ。山田氏は「大塚家具は粗利が高いから、ちょっとテコ入れすればすぐ回復する」と自信…

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今沢真

経済プレミア編集部

1959年東京都生まれ。早稲田大法卒。83年毎日新聞社に入社。静岡支局、東京本社整理本部を経て89年経済部。税・財政や金融政策を担当、銀行、メーカー、流通業を取材する。2013年から論説委員として毎日新聞の社説を執筆。15年6月から経済プレミア創刊編集長、19年6月から同編集部。16年「東芝 不正会計 底なしの闇」(毎日新聞出版)を出版。城西大非常勤講師のほか、日大経済学部などで教壇に立つ。