カリスマ転落

「ゴーン流コストカット」が日産車の実力を引き下げた

編集部
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カルロス・ゴーン日産自動車前会長=2019年4月25日、玉城達郎撮影
カルロス・ゴーン日産自動車前会長=2019年4月25日、玉城達郎撮影

「ゴーン前会長の失敗」法木秀雄さんに聞く(3)

 日産自動車の業績は、カルロス・ゴーン前会長の“失脚”後に急激に悪化した。元北米日産副社長の法木秀雄さんは、「ゴーン流コストカット」の手法に、そもそも問題があったと指摘する。インタビューの第3回をお届けする。【聞き手は経済プレミア編集部、今沢真】

 ――「ゴーン経営」の最大の武器はコストカットでした。

 ◆法木秀雄さん 私はそのやり方が日産をダメにしたと思っています。車の原価を下げられれば、価格を下げたり販売促進費を増やしたりして、売りやすくなります。ところがゴーン氏のコストカットは、日産の車を弱くしたんです。

部品共通化の問題

 ――どういうことですか。

 ◆部品調達で徹底したコスト削減が行われました。一つはルノーとの部品の共通化です。ワイパー、ドアノブ、ハンドルといった部品をルノー車を軸に共通化した。日産車のワイパーに「ルノー」と書かかれていることがあります。ダッシュボードも、形は違うが素材を同じにしたり。一つの部品を量産できるので安くはなります。ゴーン氏はそれを徹底させました。

 でも、それが問題でした。ルノーの車は小さく、日本の軽自動車に近い。エンジンも小さくて低価格で売っている。一方、日産は中クラスの車や高級車もある。技術的にも日産のほうがずっと実力は上です。それを相手に合わさせられた。

 ――両社の技術や部品の性能を考え、戦略的に動かすのがトップの責任のはずです。

 ◆ルノーに支配されたアライアンス(提携)のもとで、それができませんでした。ゴーン氏は車のプロではありません。コストカットありきで、部品の細かなスペックに関心はなかった。

「系列破壊」の弊害

 ――ゴーン改革で「系列破壊」も行われました。系列部品メーカーを絞り、1社あたりの発注を増やして価格を下げさせたんですね。

 ◆それも問題を残しています。それまでは部品…

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長く経済分野を取材してきた川口雅浩・毎日新聞経済部前編集委員を編集長に、ベテラン・若手編集者が経済・社会の最新情勢を追います。
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