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五輪後に“油断は禁物”景気を押し下げる意外な要因

熊野英生・第一生命経済研究所 首席エコノミスト
外国からの観光客でにぎわう浅草=東京都台東区で2019年4月10日、宮間俊樹撮影
外国からの観光客でにぎわう浅草=東京都台東区で2019年4月10日、宮間俊樹撮影

 2020年の日本経済を考えるとき「東京五輪後」が焦点となる。改めて考え方を整理してみたい。

 多くのエコノミストの見解は、20年秋以降も五輪による反動減はほとんどないというものだ。筆者は本当にそうなのかを疑っている。反動減は巨大なものではないとしても、ある程度の影響があると警戒している。

 まず、基本的な考え方を示すと、五輪による一時的な消費・投資といった需要が大きければ、五輪終了後に過剰生産能力が生じる。需要が速やかに回復すれば景気へのダメージは限定的だ。逆に、五輪による一時的な需要が大きく、それに見合う需要回復がなければ、過剰生産能力が企業収益を悪化させ、景気を下押しする。

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第一生命経済研究所 首席エコノミスト

1967年山口県生まれ。横浜国立大学経済学部卒業。90年、日本銀行入行。調査統計局などを経て、2000年、第一生命経済研究所入社。11年4月から現職。専門は金融政策、財政政策、金融市場、経済統計。