
スパイ映画ばりに日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告がレバノンへ逃亡した。ゴーン前会長は会社法違反などの罪で起訴されている。謎の多い一連の「ゴーン劇場」を理解するうえで欠かせないのが、かねて日産とルノーの合併に意欲的だったマクロン大統領だ。1月8日の記者会見でもマクロン氏との深い因縁が浮かび上がってきた。
日産とフランス自動車大手ルノー。1999年に倒産寸前だった日産をルノーが救済する形で提携して以降、国境を超えた自動車大手の連合は成功例と評された。ただ、日産が経営危機を脱すると、競争力に劣るルノーを日産の利益が支える「親子逆転」の構図が定着。ルノーが日産株43・4%を持つ一方、日産のルノーへの出資比率は15%にとどまり、利益を吸い上げられる格好の日産には、この資本関係に強い不満がある。
「日産・ルノーに大きなしこり」
両社のトップを務めてきたゴーン前会長は会見の冒頭、2015年に起きた仏政府との「バトル」に言及した。この時の仏政府の動きが「一連の問題の発端だ」と言い…
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三沢耕平
毎日新聞経済部副部長(元ロンドン特派員)
1998年入社。松本、甲府支局を経て2004年から経済部で財務省、日銀などを取材。政治部にも在籍し、首相官邸、自民党などを担当した。16年から欧州総局(ロンドン支局)。20年4月から経済部デスク。特集「見えない予算」「再考エネルギー」などを担当。
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