熊野英生の「けいざい新発見」

日本経済の活性化には「60歳以上の賃金」を上げるべし

熊野英生・第一生命経済研究所 首席エコノミスト
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 今回は、公的年金に頼れなくなるかもしれない、私たちの老後について考える。将来、公的年金を受け取る年齢になって、その年金額が不十分だとすると、私たちはどうやって生活を切り盛りすることができるのだろうか。

 普通に考えれば、老後も働きながら年金不足を賄うしかないのだろう。実は、政府が考えているプランも、年金支給額を減らして、シニアが働き続けることを国民に望んでいるのだと思う。この根拠は、後で述べることとしよう。

 まず、公的年金の支給開始年齢は65歳からさらに遅らされて、70歳になるであろうか。筆者はならないと予想している。現在、年金支給開始のタイミングを後ずらしして、70歳の開始にすると42%も支給額が上積みされる仕組みになっている。安倍首相はさらに、この支給開始を70歳以上に後ずらしする選択ができるようにすると公式に述べている。

 ただ仮に、マクロ経済スライドの仕組みを使って、公的年金支給の実質的な水準が約2割下がったとすると、人々は、年金支給開始のタイミングを遅らせることで、もらえる額を回復させようとするだろう。2年半ほど後ずらしして67歳時の支給に変えると、年間にもらえる額はそれほど変わらなくなる。

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熊野英生

第一生命経済研究所 首席エコノミスト

1967年山口県生まれ。横浜国立大学経済学部卒業。90年、日本銀行入行。調査統計局などを経て、2000年、第一生命経済研究所入社。11年4月から現職。専門は金融政策、財政政策、金融市場、経済統計。