ベストセラーを歩く

「このミス」国内1位作品 若き“女性霊媒師”の魅力

重里徹也・文芸評論家、聖徳大教授
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 書店に並んでいる数多くの新刊本を見て、一体どれを読んだらいいのか、と迷う人は少なくないだろう。芥川賞・直木賞や本屋大賞に注目が集まる理由の一つも、受賞が格好の読書案内になり、それでは読んでみるか、と思う人がいるからだ。そして、これらの賞がなぜ成功したのかは、ビジネスモデルとしても興味深い。

 ミステリーのジャンルで、そんな指標になっているのが、毎年年末に刊行される「このミステリーがすごい!」(略して「このミス」、宝島社)の「ベストテン」や「週刊文春」の「ミステリーベスト10」だろう。上位に入った作品を楽しむ読書好きも多く、必ずベストセラーに顔を出してくる。

 いずれもアンケート形式の投票による。国内編と海外編(翻訳もの)に分かれている。「このミス」の国内編だと、評論家、書店員、ミステリークラブ、大学サークルなど73人(団体)がベスト6を投票して、1位10点、2位9点……6位5点で集計している。誰がどのようにベスト6を選んだかはすべて公開されている。この透明性が公平性、つまり信頼性の根拠だ。

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重里徹也

文芸評論家、聖徳大教授

1957年、大阪市生まれ。大阪外国語大(現・大阪大外国語学部)ロシア語学科卒。82年、毎日新聞に入社。東京本社学芸部長、論説委員などを歴任。2015年春から聖徳大教授。著書に「文学館への旅」(毎日新聞社)、共著に「村上春樹で世界を読む」(祥伝社) などがある。