
山形市の百貨店「大沼」が1月27日、山形地裁に破産を申請した。これで山形県は県庁所在地から百貨店がなくなる初のケースとなる。今回のことから地方都市と百貨店の今後の課題を考えてみたい。
17年に自力再建を断念
まず大沼の経過を振り返る。大沼は創業が元禄時代の1700年で、320年の歴史を持つ老舗だった。百貨店としては松坂屋、三越に次ぐ歴史があった。26日の通常営業後、経営陣が従業員に同日で閉店すると説明、従業員約190人も同日解雇された。
大沼は県を代表する百貨店として成長し、1993年2月期に売上高約196億円を記録した。しかしバブル経済の終えんや地方経済の衰退、人口の減少、郊外型ショッピングセンターの進出、高速道路の拡充による仙台への買い物客流出など、次々と集客に影響する変化が起こり、売り上げは低迷し続けた。
2006年に一時黒字転換を果たしたが、その後は再び悪化。17年には自力再建を断念し、企業支援投資会社のマイルストーンターンアラウンドマネジメント社(MTM、東京都)に支援を要請するこ…
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