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中村福助の淀殿好演で考えた「障がい者の当たり前」

山田道子・元サンデー毎日編集長
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東京都中央区の歌舞伎座=小川信撮影
東京都中央区の歌舞伎座=小川信撮影

 舞台に置かれた御堂の御簾(みす=貴人が使うすだれ)が開くと、淀殿、秀頼、そして智仁親王が姿を現した。2020年1月、歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」の皮切り演目は「醍醐の花見」。九州平定を成し遂げた豊臣秀吉が、北政所や淀殿をはじめとする約1300人を集めた花見のうたげを題材とした舞踊劇だった。

 秀頼は、秀吉と淀殿の息子。智仁親王は一時は秀吉の猶子(ゆうし=養子)で天皇家に連なる。大勢の男女が登場し華やかに舞う。そんな中、淀殿を演じる中村福助さん(59)は赤い打ち掛け姿で座ったまま、セリフを発するも左手に持った扇だけを動かす。最後の場面では足元の小さな台ごと右前に移動し、背後の黒衣に腰を支えられ立ち上がる。

長期療養から舞台に復帰

 よくぞここまで、である。福助さんは女形の大名跡・七代目中村歌右衛門を襲名することが13年9月に発表された。しかし、同11月の歌舞伎座公演を体調不良で途中降板。松竹から「…

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山田道子

元サンデー毎日編集長

1961年東京都生まれ。85年毎日新聞社入社。社会部、政治部、川崎支局長などを経て、2008年に総合週刊誌では日本で最も歴史のあるサンデー毎日の編集長に就任。総合週刊誌では初の女性編集長を3年半務めた。その後、夕刊編集部長、世論調査室長、紙面審査委員。19年9月退社。