職場のトラブルどう防ぐ?

54歳中小経営者の苦渋「希望退職」で残された有休問題

井寄奈美・特定社会保険労務士
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 A介さん(54)は、従業員数約50人の機械部品加工会社の経営者です。3月末で主要取引先の大手機械メーカーB社からの仕事がなくなることが決まったため、事業を縮小し、B社の仕事に携わる従業員の大半に退職してもらわざるを得ない状況です。退職金の上乗せなど会社としてできる限りの条件を出し、なんとか従業員の理解を得ましたが、従業員から要望された年次有給休暇の取り扱いについてどう対応すべきか困っています。

 会社は50年ほど前にA介さんの父が創業しました。当時からB社の下請けで、B社からの仕事の増加に伴い設備を整え、従業員数も一時は80人近くまで増えました。その後はB社の事情で仕事量に増減はありましたが、常に一定量をこなしてきました。売り上げのほとんどがB社からの仕事でした。

 7年前に父から経営を引き継いだA介さんは、その前からB社に依存した経営を見直すべく新規の取引先を増やすことに力を注いできました。そうした中、数年前にB社が事業の一部を他社に売却する話が持ち上がりました。そして、B社以外の売り上げが会社全体の40%に達した昨年3月末、B社から「1年後に取引を終了する」と通知がありましたが、取引終了前に在庫部品を余分に確保したいというB社の要望で、今年度の受注が前年…

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井寄奈美

特定社会保険労務士

大阪市出身。2015年、関西大学大学院法学研究科博士前期課程修了。現在、大阪大学大学院法学研究科博士後期課程在籍中(専攻:労働法)。01年、社会保険労務士資格を取得。会計事務所勤務などを経て06年4月独立開業。井寄事務所(大阪市中央区)代表。著書に『トラブルにならない 小さな会社の女性社員を雇うルール』(日本実業出版社)など。http://www.sr-iyori.com/