
国土交通省が3月18日発表した公示地価(2020年1月1日時点)は、東京、大阪、名古屋の3大都市圏だけでなく、地方圏も地価の回復が鮮明になった。景気回復や日銀の金融緩和の効果が、地方にも波及した格好だ。
地方圏はこれまで札幌、仙台、広島、福岡の地方中枢4市の上昇が目立っていたが、今回は4市以外の地方圏も全用途平均と商業地の地価が1992年以来28年ぶりに上昇した。住宅地は96年から続くマイナスから、ほぼ横ばいとなった。
気になるのは、新型コロナウイルスの感染拡大が今後の地価に与える影響だ。今回の公示地価に新型コロナの影響は反映されていない。長期にわたり訪日外国人旅行者が減少すれば、旺盛だったホテルや商業施設の需要が減り、商業地を中心に地方にも波及していた地価上昇の流れが変化する可能性がある。
目立つ県庁所在地の上昇
今回、県庁所在地で上昇が目立ったのは秋田市と高知市だ。秋田市の商業地は…
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川口雅浩
経済プレミア編集部
1964年生まれ。上智大ドイツ文学科卒。毎日新聞経済部で財務、経済産業、国土交通など中央官庁や日銀、金融業界、財界などを幅広く取材。共著に「破綻 北海道が凍てついた日々」(毎日新聞社)、「日本の技術は世界一」(新潮文庫)など。財政・金融のほか、原発や再生可能エネルギーなど環境エネルギー政策がライフワーク。19年5月から経済プレミア編集部。
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