経済記者「一線リポート」

「日銀だけ無策ではいられない」コロナ対策の苦悩とは

大久保渉・毎日新聞経済部記者
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金融政策決定会合後に記者会見する黒田東彦・日銀総裁=東京都中央区で2020年3月16日、吉田航太撮影
金融政策決定会合後に記者会見する黒田東彦・日銀総裁=東京都中央区で2020年3月16日、吉田航太撮影

 日銀が3月16日、前倒しで金融政策決定会合を開き、3年8カ月ぶりの追加緩和を決めた。新型コロナウイルスの感染拡大を封じ込めるにはヒトやモノの移動制限が不可欠だが、観光業や飲食業などの売り上げが吹き飛んでしまう。こうした企業の資金繰り支援のため、社債の買い入れ増額や低利融資枠を新設したのは的確な措置だった。

 企業や銀行のドル需要の強まりに備え、6カ国の中央銀行でドル資金供給の拡大を打ち出したのも適切な対応だったと思う。

 しかし、ETF(上場投資信託)の買い入れ枠拡大は、やや疑問だ。黒田東彦総裁は「市場の不安定化を防ぎ、リスクテイクを促進する」と説明するが、感染拡大の収束にメドがたたず、治療薬も開発されない段階では、中央銀行が何をやっても投資家心理が改善するとは思えないからだ。

 実際、日経平均株価は緩和発表後も下落し、18日には約3年4カ月ぶりに1万7000円を割り込んだ。

 中途半端さも否めない。決定文は…

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大久保渉

毎日新聞経済部記者

 1979年、ブラジル生まれ。2004年、京都大学総合人間学部卒、毎日新聞社入社。山形支局を経て09年から東京本社経済部。自動車などの民間企業、日銀、証券業界、金融庁、経済産業省、財務省を担当。15年から2年間は政治部で自民党などを担当した。19年5月から日銀、証券、金融庁を束ねる金融グループのキャップ。