ニッポン金融ウラの裏

コロナ対応で直面する難題「監査・有報・株主総会」

浪川攻・金融ジャーナリスト
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新型コロナウイルスの感染防止のため、日本たばこ産業(JT)の株主総会の会場にはアルコール消毒液が用意されていた=2020年3月19日、和田憲二撮影
新型コロナウイルスの感染防止のため、日本たばこ産業(JT)の株主総会の会場にはアルコール消毒液が用意されていた=2020年3月19日、和田憲二撮影

 新型コロナウイルスの感染拡大が企業の決算対応に大きな影響を及ぼす情勢となっている。業績への悪影響はもはや避けられない状況だが、それだけが懸念材料ではない。監査法人の監査対応から株主総会、有価証券報告書(有報)の提出といったスケジュール全般に大きな狂いが生じかねない。

 上場企業の多くは3月期決算だ。3月末に年度の決算を締め、4月下旬から5月中旬まで集中的に決算発表を行っている。しかし、今年は、例年通りのパターンになるかどうかは微妙だ。そう考えざるを得ない理由の一つが監査法人の対応力である。多くの上場企業の外部監査を担っている大手監査法人が異例の事態になっているからだ。

 わが国の大手監査法人は、アーンスト・アンド・ヤング(EY)、デロイトなど「ビッグ4」と呼ばれる世界の巨大監査法人の傘下に入っている。運営もビッグ4の指示のもとにある。新型コロナウイルスへの対応も同様である。

 「ビッグ4」は新型コロナ問題が深刻化して以降、感染防止の観点から社員に対して原則的に在宅によるテレワークを命じている。わが国の大手監査法人もその指示にならい、多くの社員が在宅テレワークを余儀なくされている。その後、東京都など自治体が、平日できるだけ在宅で仕事をするよう呼びかけたことも加わり、この状態が長引きそうな状況だ。

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浪川攻

金融ジャーナリスト

1955年、東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカーを経て、金融専門誌、証券業界紙、月刊誌で記者として活躍。東洋経済新報社の契約記者を経て、2016年4月、フリーに。「金融自壊」(東洋経済新報社)など著書多数。