熊野英生の「けいざい新発見」

コロナ禍で深刻化する「地価下落と不良債権」の不安

熊野英生・第一生命経済研究所 首席エコノミスト
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緊急事態宣言を受けて臨時休業した百貨店=東京都中央区で2020年4月10日、小川昌宏撮影
緊急事態宣言を受けて臨時休業した百貨店=東京都中央区で2020年4月10日、小川昌宏撮影

 新型コロナウイルス感染の収束はまだ見えないが、その先にある懸念について予想してみたい。最初から答えを言えば、賃金と不動産賃料が下がり、地価下落と金融機関の不良債権が発生するのではないか。そして、その穴埋めに財政資金が使われ、政府債務残高は増える。

休業しても家賃は払う

 まず現状を述べると、5月6日まで緊急事態宣言の下で外出自粛が続く。人と人との接触を8割減らせば、約1カ月で感染者の減少を確認できるまでになるが、7割減であれば約2カ月に延びるというのが政府の専門家会議の見解だ。筆者は1カ月間での外出自粛要請の終了はかなり厳しいのではと思う。

 外出自粛要請が1カ月から2カ月間へと長引いたとき何が起こりそうか。現在、行政からの要請を受けて、劇場、ナイトクラブ、百貨店などさまざまな業態で休業が続いているが、そうした事業者が収入を得られないまま、2カ月間耐えなくてはならない。売り上げの増減とは関係なく、人件費、不動産賃料、金融費用、光熱費などの固定費がかかる。

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熊野英生

第一生命経済研究所 首席エコノミスト

1967年山口県生まれ。横浜国立大学経済学部卒業。90年、日本銀行入行。調査統計局などを経て、2000年、第一生命経済研究所入社。11年4月から現職。専門は金融政策、財政政策、金融市場、経済統計。