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「国保も傷病手当金」コロナで“健康保険格差”に風穴

渡辺精一・経済プレミア編集部
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 病気やけがで働けなくなり、給料がもらえない場合、会社員らが加入する健康保険には現金を給付する「傷病手当金」がある。自営業者らが加入する国民健康保険にはない制度だが、新型コロナウイルス感染症では特例で給付することになった。働けなくなるリスクに備える傷病手当金の役割は大きい。改めてその中身を確認しよう。

 傷病手当金は、会社員が加入する健康保険や公務員が加入する共済組合など、勤め人を対象とした「被用者保険」の制度だ。業務外の病気やけがの療養で仕事を4日以上休み、給料の支払いがない場合、4日目から月給の3分の2を最長1年6カ月給付する。給料の支払いはあっても減額されている場合は、傷病手当金額との差額を給付する。賞与は考慮されないため、一般に「年収の半分」が目安とされる。

 健康な人は気づきにくいが、その存在感は小さくない。中小企業の従業員2376万人が被保険者になっている全国健康保険協会(協会けんぽ)によると、2018年度に傷病手当金を支給した件数は100人あたり5件近くにのぼる※。平均支給期間は164日(5カ月半)に及ぶ。

 社会保障制度のなかで、傷病手当金は有給休暇制度や障害年金と連動しており、その橋渡し役という重要な位置づけがある。

 勤め人は、病気やけがで働けなくなれば、まず有給休暇が使える。有休を使い切り、給与の支払いがなくなった事態をカバーするのが傷病手当金だ。さらに、病気やけがが治癒せずに障害が残り、生活や仕事に支障が出ると、厚生年金や国民年金から障害年金が受け取れる。これは初診日から1年6カ月後に一定の障害状態にあることが条件で、傷病手当金の給付期間と連動している。

 だが、…

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渡辺精一

経済プレミア編集部

1963年生まれ。一橋大学社会学部卒、86年毎日新聞社入社。大阪社会部・経済部、エコノミスト編集次長、川崎支局長などを経て、2014年から生活報道部で生活経済専門記者。18年4月から現職。ファイナンシャルプランナー資格(CFP認定者、1級FP技能士)も保有。