経済プレミア・トピックス

巨額赤字の孫正義氏「崖下を余裕で見ている」は本心か

川口雅浩・毎日新聞経済プレミア編集長
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新型コロナウイルスの投資戦略への影響などを語るソフトバンクグループの孫正義会長兼社長=2020年5月18日(同社提供)
新型コロナウイルスの投資戦略への影響などを語るソフトバンクグループの孫正義会長兼社長=2020年5月18日(同社提供)

 巨額赤字となったソフトバンクグループ(SBG)の2020年3月期連結決算の発表会見に孫正義会長兼社長がオンラインで登場した。いつも強気の孫氏だが、新型コロナウイルスが世界経済に与える影響が見通せないためか、今後の投資については「安全運転に徹する」など、珍しく慎重な発言が目立った。

 孫氏は今回のコロナ不況を1929年に米国で始まった世界恐慌にたとえ、「大きな危機の後に復活するのは従来型の産業ではなく、新しい産業だ」と、自らの経営哲学を語った。

 SBGが5月18日に発表した同決算は、最終損益が9615億円の赤字となり、同社として過去最大となった。20年1~3月期は1兆4381億円の最終赤字で、日本企業の四半期決算としては、原発事故時の東京電力ホールディングスを超え、過去最大規模となった。

 国内の携帯電話事業は堅調だったが、運用額約10兆円の主力ファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)」を通じた投資事業が、新型コロナの影響などで低迷し、株価が下落したのが響いた。

 孫氏は「SVFの成績は誇れるような内容ではない。反省も含めて(今後の投資は)慎重に選びながらやっていく」と述べた。

 SVFの投資先でシェアオフィス「ウィーワーク」を運営する米ウィーワークカンパニーは乱脈経営で巨額の損失を計上し、大赤字の要因となった。孫氏は「ウィーワークで私が投資の失敗をしたことは既に何度も認めている。私がバカでしたと正直に頭を下げている」と責任を認めた。

 しかし、孫氏は投資家の期待に応えることも忘れなかった。

 孫氏は新型コロナが世界恐慌と並ぶ「未曽有の危機」であると強調。「世界恐慌の後に登場したのは…

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川口雅浩

毎日新聞経済プレミア編集長

1964年生まれ。上智大ドイツ文学科卒。毎日新聞経済部で財務、経済産業、国土交通など中央官庁や日銀、金融業界、財界などを幅広く取材。共著に「破綻 北海道が凍てついた日々」(毎日新聞社)、「日本の技術は世界一」(新潮文庫)など。財政・金融のほか、原発や再生可能エネルギーなど環境エネルギー政策がライフワーク。19年5月から経済プレミア編集部