高齢化時代の相続税対策

コロナで82歳が取り組んだ「第4の相続対策」とは

広田龍介・税理士
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 新型コロナウイルスの感染拡大は、やや落ち着きの兆しも見えてきたものの、まだ気を緩められない状況だ。コロナ禍のなか、高齢者には相続対策への考え方を見直す動きも出ているようだ。

相続対策の「三つの柱」

 東京都内在住のHさん(82)は、高齢になったこともあり、万一に備え、相続対策を進めてきた。家族は、妻とすでに独立している子供3人。家族のためにと、投資用マンションを購入し、遺言書の作成も終えた。

 相続対策には三つの柱が重要とされる。第一に、相続人が遺産をめぐって仲たがいをしないようにする「争族対策」。第二に、相続人が納税資金に困らないようにする「納税資金対策」。第三に、相続税をできるだけ抑える「節税対策」だ。

 マンションの購入は納税資金対策と節税対策、遺言書は争族対策のためだ。Hさんは、三つの柱にはなんとかメドをつけたと一安心し、最後の仕上げとして身の回りの整理を始めていた。

 ところが、この断捨離を始めたタイミングで、新型コロナウイルスの感染拡大という思わぬ事態となった。高齢者は感染すれば重症化するリスクが高いという。Hさんは動揺した。

 実は、高齢化の進展を反映し、最近では、相続対策の第四の柱として「健康対策」が挙げられるようになっている。例えば、自分が認知症になったり、介護が必要になったりした場合でも、家族の負担にならないよう配慮するようなことだ。

2週間の自宅待機に備える

 相続対策とは、いわば、自分が安心して老後を暮らし、家族が楽しく過ごせるようにするためのものだ。コロナ禍のなか、Hさんは、自分の相続対策に、この「第四の柱」である健康対策という考え方がやや手薄だったと気づい…

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広田龍介

税理士

1952年、福島県いわき市生まれ。85年税理士登録。東京・赤坂で広田龍介税理士事務所を開設。法人・個人の確定申告、相続税申告、不動産の有効活用などを中心に幅広くコンサルティング活動を続けている。相続税に関する講演やセミナーも開催している。