藻谷浩介の世界「来た・見た・考えた」

藻谷氏が考察「日本に欧米経由コロナなぜ広がった?」

藻谷浩介・地域エコノミスト
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ニュージーランドの対策は早かった(最大の都市オークランド、2015年3月、筆者撮影)
ニュージーランドの対策は早かった(最大の都市オークランド、2015年3月、筆者撮影)

 欧米の旧西側諸国に比べて、新型コロナウイルスによる100万人当たりの死者数が数十分の1から数百分の1の水準にとどまる日本。しかし、他の東アジアや東南アジア、さらにオーストラリア(豪州)、ニュージーランド(NZ)も加えた「西太平洋諸国」の数字を確認していくと、違う評価になる。日本は「アジアのリーダー」どころか、かなりの“劣等生”と言えるのではないか。

 この特別連載の第1回掲載から、はや2週間。初回に示したグラフに、その後の経過を加えて、欧米の旧西側諸国の死者数の多さを再度示そう(図1)。もう一つ、今回新たに加えたグラフ(図2)では、死者数を日本以下の水準に抑えつつ、しかも感染を収束させたように見える諸国を並べた。両図から、世界の両極端の間にある日本が見える。

 図1のように、欧米諸国と比べると、日本は死者数の抑止に突出して成功している。しかし図2を見れば明らかだが、東アジア、東南アジア、さらに豪州、NZを加えた「西太平洋諸国」の主要メンバーの中では、日本だけが感染の収束に手間取っているではないか。

 マレーシアやタイの数字は正確なのか、疑問をお持ちの方もおられよう。ベトナムはいまだに死者数ゼロでグラフに出てこない。これらの国では、確かに把握できていない死者はいるかもしれないが、死者数の水準は著しく低く、かつ既に感染を抑え込めていることは間違いない。特にタイの取り組みは外出抑制や隔離を徹底し、総死者数が7人の台湾と並んで鮮やかだった。

 中国の数字の段差は、報告されていなかった湖北省の死者数の上乗せによる。カウントされていない死者がさらにいても驚かない。しかし仮に本当の数字がこの10倍…

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藻谷浩介

地域エコノミスト

1964年山口県生まれ。平成大合併前の約3200市町村のすべて、海外109カ国を私費で訪問し、地域特性を多面的に把握する。2000年ごろから地域振興や人口問題に関して精力的に研究、執筆、講演を行う。著書に「デフレの正体」「里山資本主義」ほか多数。国内の鉄道(鉄軌道)全線を完乗した鉄道マニアでもある。