地域活性化の挑戦者たち

加賀のほうじ茶「創業150年の製茶場」が伝える楽しみ

櫻田弘文・クエストリー代表取締役
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丸八製茶場6代目社長の丸谷誠慶さん=筆者提供
丸八製茶場6代目社長の丸谷誠慶さん=筆者提供

 石川県加賀市の加賀温泉郷は、粟津、片山津、山代、山中の四つの温泉地からなる北陸の奥座敷だ。そこからほど近い旧北陸道の宿場町・動橋(いぶりはし)に、地元の人たちから親しまれているほうじ茶を「加賀棒茶(ぼうちゃ)」という石川県を代表するブランドに仕立て上げた「丸八製茶場」がある。6代目の丸谷誠慶(まるや・まさちか)さん(41)は、茶の新しい可能性を探りながら、地元の活性化にもつなげようとしている。

若者が茶に触れる機会を

 日本茶の市場規模は縮小傾向だ。茶の生産量は年々減少しており、家に急須がない人も増えている。こうした中、丸谷さんは丸八製茶場が創業150年を迎えた2013年に6代目社長に就任した。食文化としての茶に若い人が触れる機会を作るため、新たな「茶づくり」と「場づくり」を目指している。

 丸谷さんは、日本茶の地味なイメージを変えるための製品作りに取り組んできた。もともと日本茶は仏事で使用されることが多いが、それを慶事の引き出物としても選ばれるよう、20~30代の女性をターゲットにした「加賀いろはテトラシリーズ」を10年に発売した。これは、動植物をモチーフにデザインした缶や袋の中に、日本茶のティーバッグが入っている(6個/324円から)。秋冬限定の1種を合わせた五つの味があり、女性誌でたびたび取り上げられている。

 また、金沢市内で古都の雰囲気が味わえる東山地区で、同社が築140年の町家を改装して運営していた喫茶「一笑」を18年に全面リニューアルした。1階が観光客向けの喫茶で、2階を地元の人向けのコワーキングスペース(共同の仕事場)とし、同社製…

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櫻田弘文

クエストリー代表取締役

1955年山梨県生まれ。日本大学卒業後、78年に販売促進の企画・制作会社に入社。2001年、クエストリーを設立して独立。中小企業経営者向けの「クエストリー・ブランディングクラブ」を主宰する他、数多くの専門店や飲食店のブランディングを実践的に指導している。