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認知症で「徘かい中に事故」介護家族を守る保険

渡辺精一・経済プレミア編集部
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 大認知症時代が間近に迫る。2025年には65歳以上の5人に1人が認知症になると推計される。介護家族には、認知症の人が事故やトラブルを起こすのではないかという不安も大きい。そうした事態に備える保険商品がある。

 厚生労働省によると、65歳以上で認知症の人は12年で全体の15%にあたる462万人だが、25年には同20%の700万人になると推計される。警察庁によると、18年に行方不明届が出た認知症の人は1万6927人と6年連続で過去最多を更新している。

 こうしたなか、介護家族にとっては、認知症の人が徘徊(はいかい)中、誤って物を壊したり人を傷つけたりしないかという不安も増す。

 これを象徴する出来事がある。愛知県大府市で07年、認知症の男性(当時91歳)が1人で外出し、列車にはねられて死亡した事故だ。

 列車を運行するJR東海は、列車遅延による損害賠償720万円の支払いを男性の妻と、別居の長男らに求め提訴した。民法では認知症の人など「責任能力がない人」の賠償責任は「監督義務者」が負う。裁判は妻と長男が監督義務者に当たるかどうかが争われた。

 1審・名古屋地裁は妻と長男に全額の賠償を命じ、2審・名古屋高裁は妻だけに360万円の賠償を命じた。家族の責任を強く問うもので、ただでさえ心労の多い介護家族に大きな衝撃となった。

 最高裁は16年、2人は監督義務者には当たらないとして請求を棄却した。一方「特段の事情がある場合は監督義務者に準ずる者として責任を問われることがある」としながらその基準は示さず、なお介護家族の責任リスクが浮き彫りとなった。

 大手損保によると、認知症の人が起こす事故で家族の監督責任…

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渡辺精一

経済プレミア編集部

1963年生まれ。一橋大学社会学部卒、86年毎日新聞社入社。大阪社会部・経済部、エコノミスト編集次長、川崎支局長などを経て、2014年から生活報道部で生活経済専門記者。18年4月から現職。ファイナンシャルプランナー資格(CFP認定者、1級FP技能士)も保有。