経済プレミア・トピックス

「六ケ所村の核燃再処理」国策はなぜ転換できない

川口雅浩・毎日新聞経済プレミア編集長
  • 文字
  • 印刷
日本原燃の使用済み核燃料再処理工場=青森県六ケ所村で2020年4月24日、本社機「希望」から北山夏帆撮影
日本原燃の使用済み核燃料再処理工場=青森県六ケ所村で2020年4月24日、本社機「希望」から北山夏帆撮影

核燃料サイクルどこへ(1)

 青森県六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場が5月13日、原子力規制委員会の安全審査に「合格」した。しかし、全国の原発から出た使用済み核燃料を再処理して使う「核燃料サイクル」は行き詰っている。どうして政府と電力会社は、これまでの国策を方針転換できないのだろうか。

 核燃料サイクルは、原発の使用済み核燃料を日本原燃の六ケ所村の工場で再処理し、取り出したウランとプルトニウムを再利用しようとするものだ。日本原燃は東京電力ホールディングスなど大手電力会社が出資する再処理や核燃料加工の会社だ。

 大手電力で組織する電気事業連合会の池辺和弘会長(九州電力社長)は5月22日の記者会見で「今回、再処理工場の審査書案が了承されたことは、大きな前進と受け止めている。今後も業界一丸となって日本原燃を全面的に支援していく」と述べ、核燃料サイクルを進める考えを改めて強調した。

プルトニウム消費できるか

 しかし、課題は山積している。再処理の計画が浮上した1980年代当時は、使った燃料以上の燃料を生み出す「夢の原子炉」と期待された高速増殖炉を完成させ、ウランとプルトニウムを有効利用する計画だった。ところが高速増殖原型炉「もんじゅ」は、度重なるトラブルで2016年に廃炉が決まった。高速増殖炉は技術的に困難なことがわかり、日本を含む主要先進国で具体的な計画は進まなくなった。

 そこで政府と電力会社は、再処理したウランとプルトニウムを混ぜて加工した「ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料」を既存の原発で使う「プルサーマル発電」を目指すようになった。

 東京電力の原発事故前は全国の原発1…

この記事は有料記事です。

残り944文字(全文1640文字)

川口雅浩

毎日新聞経済プレミア編集長

1964年生まれ。上智大ドイツ文学科卒。毎日新聞経済部で財務、経済産業、国土交通など中央官庁や日銀、金融業界、財界などを幅広く取材。共著に「破綻 北海道が凍てついた日々」(毎日新聞社)、「日本の技術は世界一」(新潮文庫)など。財政・金融のほか、原発や再生可能エネルギーなど環境エネルギー政策がライフワーク。19年5月から経済プレミア編集部