経済プレミア・トピックス

破綻の「核燃サイクル」電力会社がやめられない理由

川口雅浩・毎日新聞経済プレミア編集長
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日本原燃の使用済み核燃料の受け入れ貯蔵プール=青森県六ケ所村で2018年12月10日、佐々木順一撮影
日本原燃の使用済み核燃料の受け入れ貯蔵プール=青森県六ケ所村で2018年12月10日、佐々木順一撮影

 青森県六ケ所村の日本原燃の再処理工場は1993年に建設が始まり、当初は97年に完成する予定だった。しかし、高レベル放射性廃液を固める工程が計画通り進まないなど、相次ぐトラブルで24回も延期となり、現在は21年4~9月の完成を目指している。

 建設コストも膨らんだ。工場の建設費は当初見込みの約7600億円が約4倍の2.9兆円、完成後40年間の運営費や廃炉費用などを含めると約14兆円が必要となる。

 電力会社がここまでコストをかけて、再処理工場にこだわるのは、日本原燃が1998年、電気事業連合会の立ち会いのもと、青森県、六ケ所村と結んだ覚書があるからだ。

 覚書は当時の知事、村長と日本原燃社長が連名で「再処理事業の確実な実施が困難となった場合には、日本原燃は使用済み燃料の施設外への搬出を含め、速やかに必要かつ適切な措置を講じる」と定めている。

 これは万一、再処理工場が動かなくなった場合、工場に持ち込んだ使用済み核燃料を、持ち主の電力会社に返すことを意味する。

 当時、青森県は六ケ所村への使用済み核燃料の持ち込みが既成事実化することで、再処理後に発生する「核のごみ」である高レベル放射性廃棄物の最終処分場になることを警戒していた。

 このため94年には当時の所管官庁だった科学技術庁(現文部科学省)の田中真紀子長官が北村正哉知事の求めに応じ、「青森県が高レベル放射性廃棄物の処分地に選定されることはない」と文書で回答。その後も歴代の経済産業相と知事が何度も文書を交わして、最終処分地としないことを確約している。

 高レベル放射性廃棄物の最終処分地の選定は難航し、まだまだ時間がかかる。しかし、再処理工場…

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川口雅浩

毎日新聞経済プレミア編集長

1964年生まれ。上智大ドイツ文学科卒。毎日新聞経済部で財務、経済産業、国土交通など中央官庁や日銀、金融業界、財界などを幅広く取材。共著に「破綻 北海道が凍てついた日々」(毎日新聞社)、「日本の技術は世界一」(新潮文庫)など。財政・金融のほか、原発や再生可能エネルギーなど環境エネルギー政策がライフワーク。19年5月から経済プレミア編集部