藻谷浩介の世界「来た・見た・考えた」

コロナ感染急拡大「次は途上国の危機」藻谷氏の視点

藻谷浩介・地域エコノミスト
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アルゼンチンでも感染は拡大している(首都ブエノスアイレスの低所得者地区、2018年1月6日、筆者撮影)
アルゼンチンでも感染は拡大している(首都ブエノスアイレスの低所得者地区、2018年1月6日、筆者撮影)

 日本への新型コロナウイルスの感染拡大は、中国経由の第1波を3月前半までに封じ込めに成功し、欧米経由の第2波も何とか抑え込みつつある。新規感染者数も減っている。だが日本の事態はこのまま無事に収束するのか? 大きな鍵を握るのは途上国だ。

 この特別連載の第1回と第2回では「欧米に比べて、日本の人口当たり死者数は著しく少ない」と指摘した。だが、第3回に示した通り「西太平洋地域内では、日本はむしろ感染抑止の“劣等生”」だ。「日本モデルの底力!」などと自己満足に浸っている場合ではない。「日本モデル」の考察は、特別連載の最終回まで先送りするとして、今回は途上国に目を向ける。

 図は、現状を押さえておいた方がいい国・地域を網羅した。縦軸は前回同様、人口100万人当たりの死者数だが、目盛りが「1、10、100、1000……」の対数表示になっている。つまり、上の方に位置する国は見た目以上に深刻な状況だ。

 横軸には、遅行指標の死者数ではなく、直近の状況を示す新規感染者数を使った。だが第1回で述べたように、感染者数はPCR検査(遺伝子検査)の多寡に影響されるので、国を超えてそのまま比較はできない。そこで、それぞれの国における最近1週間の新規感染者数を、同じ国の過去最大時の1週間と比較し、足元の感染拡大の強弱を数値化している。

 日本の横軸の数字は3%と、4月中旬の最大時から大幅に改善した。欧米からの第2波を日本と違い水際でブロックできた中国、韓国、台湾、豪州、ニュージーランド(NZ)と並び、図の左下に位置している。

 図の左上に集中するのは、欧州の旧西側諸国だ。同じ欧州の旧東側諸国が「全世界」(100万人…

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藻谷浩介

地域エコノミスト

1964年山口県生まれ。平成大合併前の約3200市町村のすべて、海外109カ国を私費で訪問し、地域特性を多面的に把握する。2000年ごろから地域振興や人口問題に関して精力的に研究、執筆、講演を行う。著書に「デフレの正体」「里山資本主義」ほか多数。国内の鉄道(鉄軌道)全線を完乗した鉄道マニアでもある。