
新型コロナの地政学(4)
日本への新型コロナウイルスの感染拡大は、中国経由の第1波を3月前半までに封じ込めに成功し、欧米経由の第2波も何とか抑え込みつつある。新規感染者数も減っている。だが日本の事態はこのまま無事に収束するのか? 大きな鍵を握るのは途上国だ。
人口当たり死者数と直近の感染拡大を比較
この特別連載の第1回と第2回では「欧米に比べて、日本の人口当たり死者数は著しく少ない」と指摘した。だが、第3回に示した通り「西太平洋地域内では、日本はむしろ感染抑止の“劣等生”」だ。「日本モデルの底力!」などと自己満足に浸っている場合ではない。「日本モデル」の考察は、特別連載の最終回まで先送りするとして、今回は途上国に目を向ける。
図は、現状を押さえておいた方がいい国・地域を網羅した。縦軸は前回同様、人口100万人当たりの死者数だが、目盛りが「1、10、100、1000……」の対数表示になっている。つまり、上の方に位置する国は見た目以上に深刻な状況だ。
横軸には、遅行指標の死者数ではなく、直近の状況を示す新規感染者数を使った。だが第1回で述べたように、感染者数はPCR検査(遺伝子検査)の多寡に影響されるので、国を超えてそのまま比較はできない。そこで、それぞれの国における最近1週間の新規感染者数を、同じ国の過去最大時の1週間と比較し、足元の感染拡大の強弱を数値化している。
日本の横軸の数字は3%と、4月中旬の最大時から大幅に改善した。欧米からの第2波を日本と違い水際でブロックできた中国、韓国、台湾、豪州、ニュージーランド(NZ)と並び、図の左下に位置している。
図の左上に集中する…
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