
日産自動車は5月28日、最終(当期)赤字が6712億円の2019年度連結決算を発表した。この赤字はリーマン・ショック後の08年度の2337億円を大きく上回り、仏ルノーの傘下に入った20年前の99年度の6843億円に匹敵する巨額に膨らんだ。
20年前の危機の際は、カルロス・ゴーン前会長が“再建請負人”として乗り込んだ。そして「00年度までに黒字化する」を必達目標として掲げ、「V字回復」を果たした。いま日産を率いる内田誠社長は、再建に向けた道筋をどう描き、いつ“黒字化”を果たそうとしているのか。
第一の手がかり「世界全体の販売台数」
内田社長は28日の決算記者会見で、20年度の業績予想は「未定」とし、黒字化の時期も示さなかった。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で生産、販売が急激に落ち込んでいる。「V字回復」どころか、どこまで業績が落ち込むか、現時点では見通しが立たないからだ。
では、日産はこの先、赤字決算が何年も続くのか。それとも、公表はしなかったが、1~2年先には赤字を抜け出せると…
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今沢真
経済プレミア編集部
1983年毎日新聞入社。89年経済部。日銀キャップ、財研キャップ、民間企業キャップを歴任。2013年論説委員。15年経済プレミア創刊編集長。19年から同編集部。16年に出版した「東芝 不正会計 底なしの闇」(毎日新聞出版)がビジネス部門ベストセラーに。ほかに「東芝 終わりなき危機」など。16~18年度城西大非常勤講師。