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コロナ前から米国は「製造業不況」を示す確かなデータ

エコノミスト編集部
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5月初旬には全米各地で経済再開を求めるデモが……(「私を自由の身にしろ」と書いたプラカードを掲げるデモ参加者)=米ニューヨーク州オールバニで2020年5月1日、隅俊之撮影
5月初旬には全米各地で経済再開を求めるデモが……(「私を自由の身にしろ」と書いたプラカードを掲げるデモ参加者)=米ニューヨーク州オールバニで2020年5月1日、隅俊之撮影

 米国で注目度が高い経済統計の一つである「ISM景況感指数」は、全米供給管理協会(ISM)が算出する「企業の景況感」を表す指数だ。この指数から米国経済の本当の姿が読み解ける。週刊エコノミスト6月9日号の巻頭特集「指標で先読み 米国経済」より、経済・市場動向を分析するブーケ・ド・フルーレット代表の馬渕治好氏のリポートをダイジェストでお届けする。

現場の企業の声を反映

 ISM指数が重視される理由はいくつかある。企業の景況感は企業活動を通じ、景気に影響を与える。また、景気の良しあしの判断材料は、現場の企業の声が反映されると信頼性が増す。加えて、ISM指数は速報性が高い。直近4月分のISM製造業指数は5月1日、非製造業指数は5日に発表されている。

 発表元のISMは企業の購買調達担当者から構成される非営利の団体だ。彼らは部品や原材料の安定的な調達先を確保し、安価で購入することが求められる。原材料や部品、製品の価格動向に敏感で先行きが読めなければならない。

 ISMは製造業・非製造業の購買調達担当者にアンケート調査をしてISM指数を算出する。アンケートは新規受注や自社の雇用状況について、前月より良くなったか、悪くなったか、変わらないかで回答する。「良くなった」との回答の割合に、「変わらない」割合の半分を加え、「悪くなった」割合を引いている。

 個別の項目に続いて、ISM製造業指数は新規受注、生産、雇用、入荷遅延、在庫の5項目の数値を平均、ISM非製造業指数は事業活動、新規受注、雇用、入荷遅延の4項目を平均する。各指数は加工され、最も数値が高くて100、最も低くてゼロになるように作られている。…

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エコノミスト編集部

藤枝克治編集長率いる経済分野を中心として取材、編集するチーム。経済だけでなく社会、外交も含め幅広く取材する記者の集団であり、各界の専門家にコラムや情報提供を依頼する編集者の集団でもある。