MRJが世界を飛ぶ日

苦境の「三菱スペースジェット」コロナ禍で“冬眠”へ

平野純一・経済プレミア編集部
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三菱航空機のスペースジェット=名古屋空港で2020年3月18日、兵藤公治撮影
三菱航空機のスペースジェット=名古屋空港で2020年3月18日、兵藤公治撮影

 三菱重工業は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、子会社で「スペースジェット」(旧MRJ)を開発する三菱航空機の人員を大幅に削減する。海外拠点2カ所も閉鎖し、開発体制を縮小する。スペースジェットは「2021年度以降」のANAグループへの1号機納入に向けて、今年は型式証明の取得など「最後の仕上げの年」となるはずだったが、新型コロナが行く手を阻んでいる。

 スペースジェットの今年度の開発予算は600億円程度で、昨年度から半分以下になった。「開発予算が大幅減になった以上、それに見合う形で人員も考えていかざるをえない」。三菱航空機関係者はそう語る。現在、1700人いる社員をどのような態勢にするのか、計画を策定中だ。また、今年中にも型式証明が取れることを見越して量産体制の構築も進めてきたが、これも一時停止する。

 閉鎖する海外の2拠点は、米国ワシントン州のシアトル近郊レントンにある三菱航空機米国本社と、カナダ・モントリオールの事務所だ。本社機能は試験飛行を行っている米ワシントン州モーゼスレークの空港の事務所に移す。

 つまるところ、スペースジェットの事業は一時「冬眠」に入ることになる。最低限の陣容だけを残して、「コロナ禍」が収まるのを待つしかなくなった。

 ただ、航空業界が置かれた環境は極めて厳しい。国際航空運送協会(IATA)は、国際線の旅客需要がコロナ前の19年の水準まで戻るのは24年との見通しを示した。日本航空(JAL)、ANAともに、国際線約9割、国内線約7割の運休・減便が続いており、事業に相当なダメージを受けている。タイ国際航空やオーストラリアのヴァージン・オーストラリア航空がすで…

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平野純一

経済プレミア編集部

1962年生まれ。87年毎日新聞社入社。盛岡支局、サンデー毎日編集部、経済部、エコノミスト編集部などを経て2016年から現職。金融、為替、証券、マクロ経済などを中心に取材。