ニッポン金融ウラの裏

「コロナ第2波が来る前に稼ぎたい」証券営業の悪弊

浪川攻・金融ジャーナリスト
  • 文字
  • 印刷
東京証券取引所のマーケットセンター=東京都中央区で2020年5月7日、幾島健太郎撮影
東京証券取引所のマーケットセンター=東京都中央区で2020年5月7日、幾島健太郎撮影

 株価が新型コロナウイルス問題の発生前の水準近くまで復調している。そうしたなか、個人向け証券営業のあり方が改めて問われている。一部には「投資信託の回転売買的なセールスが再び激しくなっている」と言われているからだ。

復調相場でおきがちな売買勧誘

 ある証券会社の幹部はこうつぶやいている。「新型コロナの第2波が発生する前に収益をあげておきたい」。気持ちは分かるが、問題はその稼ぎ方である。

 復調相場で個人投資家の動きが活発化しているのを好機に、手数料収入を積み上げたいという発想が強まると、例によって、株式や投資信託などを次々に乗り換えて投資することを勧めるセールスが起きがちだからだ。

 金融庁は近年、投信の回転売買の勧誘を業界に厳しく戒めてきた。証券、銀行業界や独立系の投資アドバイザー(IFA)に「顧客本位の営業に徹する」よう繰り返し強く要請している。しかし、営業する側の体質が売買手数料に依存する旧来型のビジネスから脱却できていないと、上昇相場ですぐ手数料稼ぎの思惑が強まってしまう。

参考になる米国の情報開示

 個人投資家が「自分に適した証券会社や営業担当者を選びにくい」という構造も関わっている。投資家が会社や営業担当者を選べる仕組みや基準があれば、会社本位の営業スタイルには歯止めがかかる可能性がある。ところが「自分に適した相手」を選ぶ目安が、個人投資家に提供されていない。

 そこで参考とな…

この記事は有料記事です。

残り685文字(全文1281文字)

浪川攻

金融ジャーナリスト

1955年、東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカーを経て、金融専門誌、証券業界紙、月刊誌で記者として活躍。東洋経済新報社の契約記者を経て、2016年4月、フリーに。「金融自壊」(東洋経済新報社)など著書多数。