高齢化時代の相続税対策

コロナ禍だから急ぐ「中小企業の事業承継」待ったなし

広田龍介・税理士
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 新型コロナウイルスの猛威で、中小企業のオーナー経営者の間では、会社を後継者に引き継ぐ「事業承継」対策が本格的に動き始めている。高齢者は感染すれば重篤化するリスクがあり、自分に万一のことがあれば、会社の存続が危ういという思いから、対策に本腰を入れ始めた。

 日本経済のなかで中小企業の存在感は大きい。2019年版の中小企業白書によると、日本の全企業359万社のうち、中小企業は358万社と実に99.7%。従業員数でみれば、全企業の4679万人のうち3220万人と約7割だ。中小企業は、雇用の担い手として従業員家族の生活を支え、さまざまな技術や技能を継承していくという、重要な役割を担っている。

 だが、中小企業では、オーナー経営者の高齢化が深刻だ。経営者の年齢で最も多いのは、1995年は47歳だったが、18年には69歳になった。多くの中小企業で世代交代が進んでいない。

 適当な後継者が見つけにくいという事情もあるが、家族や親族に候補者がいても、生前贈与の税負担が重く、なかなか踏み切れないという課題も大きい。

 中小企業のオーナー経営者が亡くなると、その相続財産である株式の株価を算定することになる。通常、財務状況の良い優良企業ほど株価は高く評価されるが、その結果、後継者に多額の相続税がのしかかれば、納税のために株式を処分せざるをえず、会社の経営が成り立たなくなることもありうる。あまりにも大きな損失だ。

 経営者の年齢を考えれば、今後10年以内で、多くの中小企業が事業承継をどうするか決断を迫られる。待ったなしの状況だ。

 国も円滑な事業承継を促すため、制度整備に乗り出している。

 ポイントは二つだ。まず…

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広田龍介

税理士

1952年、福島県いわき市生まれ。85年税理士登録。東京・赤坂で広田龍介税理士事務所を開設。法人・個人の確定申告、相続税申告、不動産の有効活用などを中心に幅広くコンサルティング活動を続けている。相続税に関する講演やセミナーも開催している。