名家のルーツ

三菱「スリーダイヤ」の由来と巨大財閥築いた岩崎家

森岡浩・姓氏研究家
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「一丁ロンドン」と言われた東京・丸の内の三菱レンガ街=1894年
「一丁ロンドン」と言われた東京・丸の内の三菱レンガ街=1894年

 三菱は、三井とともに近代日本を代表する旧財閥系グループだ。三井家が江戸時代から続く呉服商だったのに対し、三菱グループは明治維新後に岩崎弥太郎が創立した海運業に始まる。

甲斐武田氏一族が祖

 岩崎家は、甲斐武田氏一族の岩崎氏の子孫と伝わる。戦国時代に土佐国井ノ口村(高知県安芸市)に移ってこの地の大名、安芸忠国に仕えたのが祖といわれる。安芸氏の滅亡後は長宗我部氏に降った。

 江戸時代に入り、長宗我部氏に代わって土佐の藩主となった山内一豊は、半農半兵の一領具足と言われた長宗我部氏の旧臣達を郷士とした。郷士は、士族としては最下層、農民としては最上位に位置する身分だ。かろうじて武士の身分にとどまった岩崎家だが、幕末には家計が苦しくなって郷士株を手放し、地下浪人という土佐独特の身分となった。

 岩崎弥太郎は1835(天保5)年に生まれた。幕末の土佐藩からは、坂本龍馬を筆頭に、板垣退助、後藤象二郎などが活躍した。弥太郎は、彼らとほぼ同年代だが、身分は最も低かった。

海運事業で商才を発揮

 弥太郎は藩校で学んだ後、藩の役職について郷士格を回復したが、しばらくは出仕と辞職を繰り返していた。目覚ましい活躍を見せ…

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森岡浩

姓氏研究家

1961年、高知県生まれ。早稲田大学在学中に独学で姓氏研究を始める。文献調査やフィールドワーク、統計を用いた実証的手法を用いる。2017年4月からNHK「人名探究バラエティー 日本人のおなまえっ!」に出演。著書、多数。