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暴動の米国「ミネアポリスでコロナ拡大」藻谷氏の検証

藻谷浩介・地域エコノミスト
ニューヨーク・サウスブロンクスの地下鉄駅。ブロンクスはニューヨークのなかでも特に死者数が多い(2017年10月5日、筆者撮影)
ニューヨーク・サウスブロンクスの地下鉄駅。ブロンクスはニューヨークのなかでも特に死者数が多い(2017年10月5日、筆者撮影)

新型コロナの地政学(5)

 緊急事態宣言の解除で、緩んだ空気が流れ始めた日本。一方、テレビの画面からは、米国の街頭での暴力沙汰の映像が流れてくる。人口3億3000万人を数えるこの巨大国家の新型コロナウイルス感染状況は、いまどうなっていて、これからどうなっていくのか。主要大都市圏の数字を分析してみると事態は深刻で、収束もまだまだという実態が見えてくる。

4大プロスポーツの本拠地を見る

 米国は50の州からなる連邦国家だ。各州は多数のカウンティ(郡)に分かれている。それに対し市・町・村は、歴史的経緯や、その地域の実情に合わせて置かれていて、どの市町村にも属さず郡だけに属する地域も多い。

 そのような米国は、経済面や生活面では、州ではなく大都市圏の集合体ととらえた方が実態に合っている。各都市圏の範囲は、米国政府の統計局が設定した「MSA=United States Metropolitan Statistical Areas」(アメリカ大都市統計地域)を使うのが一般的だ。都市ごとに数個から数十個のカウンティを組み合わせて定義されており、複数州にまたがる都市圏が多いという実態に合わせて、州境は無視されている。

 MSAは約400あるが、以下では、全米4大プロスポーツ(アメリカンフットボール、野球、バスケットボール、アイスホッケー)のチームが本拠地を置く大都市圏に絞って、新型コロナ感染の最新状況を図にしてみた。参考にカナダの主要州と日本、東京都、大阪府、米国と国柄の似たところの多い英国、ロックダウンをしていないスウェーデンほか、いくつかの欧州の国を加えている。

どの主要都市圏でも日本より…

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地域エコノミスト

1964年山口県生まれ。平成大合併前の約3200市町村のすべて、海外114カ国を私費で訪問し、地域特性を多面的に把握する。2000年ごろから地域振興や人口問題に関して精力的に研究、執筆、講演を行う。著書に「デフレの正体」「里山資本主義」ほか多数。国内の鉄道(鉄軌道)全線を完乗した鉄道マニアでもある。