いま地球環境を考える

「コロナでCO2減少」今こそ“グリーン・リカバリー”を

小西雅子・WWF(世界自然保護基金)ジャパン専門ディレクター
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米国の石炭火力発電所=清水憲司撮影
米国の石炭火力発電所=清水憲司撮影

 新型コロナウイルスをめぐる政府の緊急事態宣言が解除され、経済活動が徐々に息を吹き返しつつあります。ワクチンや特効薬がまだない中、当面は3密を避けながらの「ウィズコロナ」の経済活動となるでしょう。

 新型コロナの影響で世界的に自動車の移動や火力発電所の稼働が少なくなったことで、中国やインドはじめ世界中の大都市で大気汚染が改善し、二酸化炭素(CO2)濃度の増加ペースも減少しました。

「よりよい経済」へ

 これは2008年のリーマン・ショック時も起きた現象です。でも前回は金融危機が収束すると、再び大気汚染が広がり、CO2排出量も急増してしまいました。今回も同じ道をたどるのでしょうか。

 コロナ禍で私たちは数々の行動変容を求められました。未曽有の苦渋とともに変革を強いられた後の経済活動の回復は、「これまでの日常に戻る」のではなく、「よりよい経済社会への復興」でなければなりません。

 目指すのは環境や人権等も重視した新たな経済回復です。その考えは国際的に「グリーン・リカバリー」と呼ばれており、今はそれを実現するチャンスでもあります。

 国際社会で日本は、地球温暖化対策やプラスチック問題などグローバルな課題に先進的に取り組む国とはみなされていません。その日本にとって、事業規模で230兆円にも上る巨費を投じる経済対策は、これまでのしがらみを解き放ち、21世紀型の産業構造に転換する機会とも言えます。

各国が次々と具体策

 当面は各国とも傷んだ経済を手当てしていくことが最優先となりますが、欧米を中心に化石燃料から再生可能エネルギーにシフトするなど、経済回復と環境の改善を同時に狙う「グリーン・リカバリープラン…

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小西雅子

WWF(世界自然保護基金)ジャパン専門ディレクター

 神戸市生まれ。米ハーバード大修士課程修了、法政大博士(公共政策学)。中部日本放送アナウンサーなどを経て、2005年に国際NGOのWWFジャパンへ。地球温暖化防止の国際交渉などで施策提言を行う。15年から昭和女子大特命教授を兼務する。東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会街づくり・持続可能性委員会委員、環境省中央環境審議会委員なども務めている。