職場のストレス・マネジメント術

悪気はないが「注意力散漫な20代女性」課員の対応は

舟木彩乃・心理カウンセラー
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 斉藤さん(仮名、女性・20代前半)は、不動産会社の業務課に所属しています。課は10人程度で、営業事務や物件の引き渡しまで顧客の問い合わせなどに対応する部署です。彼女は明るく積極的な性格で、年次が一番下ながら、物おじすることなく自分が思いついたアイデアをいろいろと出し、仕事以外のことも皆に話しかけています。その一方で、机の整理や時間管理が苦手で、上司や先輩からよく注意されます。

 斉藤さんの机は、資料やファイルが積み重なり、食べかけ飲みかけの物がいつまでも置いてあります。一番迷惑を被っているのは隣の席のAさん(女性、20代後半)で、斉藤さんのファイルが崩れ落ちてきたり、食べかけのお菓子のカスが飛び散って書類が汚れたりしたことがあります。

 この件で、Aさんは何度も斉藤さんに注意しています。斉藤さんは、注意を受けると謝罪して、すぐに片付けを始める素直さがあります。しかし、途中で関係のない自分の話をしたり、突然違う作業をやり出したりするため、片付けはいつも中途半端なまま終わるそうです。

 また同僚は、斉藤さんの時間管理にも頭を抱えています。斉藤さんは会議直前まで別の仕事をすることがしばしばで、そのために資料の準備が間に合わず、会議に遅刻することがよくあるそうです。

 課員は、斉藤さんの行動について、B課長(男性、30代後半)に何度も相談しています。ただ、課長の反応はたいてい、「彼女も一生懸命やっているようだから……」というような答えで、あまり深刻な問題とはとらえていないようです。

 斉藤さんのような人は、発達障害の一つである「ADHD(Attention Deficit Hyperactiv…

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舟木彩乃

心理カウンセラー

 筑波大学大学院博士課程修了(ヒューマン・ケア科学博士)。カウンセラーとして8000人以上、コンサルタントとして100社を超える企業の相談に対応。一般企業の人事部などを経て、現在メンタルシンクタンク(筑波大学発ベンチャー企業)副社長。国家資格として公認心理師、精神保健福祉士、第1種衛生管理者、キャリアコンサルタントなど保有。著書に「『首尾一貫感覚』で心を強くする」(小学館新書)。