食の情報ウソ・ホント

消費者が誤認「合成保存料不使用」表示は改善されたか

小島正美・「食生活ジャーナリストの会」代表
  • 文字
  • 印刷
 
 

 スーパーの食品売り場では包装パッケージに「合成保存料不使用」「人工甘味料不使用」と表示しているものがある。これは国が安全だと確認している添加物であっても「合成や人工のものは危険だ」という誤認を広める原因となっている。このため消費者庁は5月、食品添加物の表示に「人工」「合成」の用語を使わない方針を決めた。だが、果たしてこれは問題の解決になるのか。

 食品添加物は、天然素材から抽出されたものか、化学的に作られたものかを問わず、国が安全性を確認したものだけが使用でき、使用しているものは表示することが義務付けられている。

 一般に「天然は安全」で、化学的な製造工程を経た「合成や人工は危ないかもしれない」というイメージを持つ人は多い。だが、天然素材でもジャガイモの芽など人体に危険なものも多い。このため、国は食品に使われるものは、天然のものも、化学的に作られたものも、分け隔てなく審査している。

 ところが、食品メーカーが自社商品を差別化しようとして、わざわざ「合成保存料不使用」「人工甘味料不使用」などと「使っていない」という情報を包装に大きく印刷するケースがある。これは「そんな表記をわざわざしているのだから、合成保存料や人工甘味料はきっと危ないのだろう」という根拠のない誤解を消費者に広めることになる。

 こうした問題意識から、消費者庁の有識者検討会は2019年4月から、食品添加物の表示のあり方を1年にわたり討議した。20年3月に公表した報告書は、「人工」「合成」と表記された添加物の入った食品は購入を避ける消費者がいることが調査で明らかになったなどとして、消費者の誤認防止のために「人工」「合成」の…

この記事は有料記事です。

残り1102文字(全文1802文字)

小島正美

「食生活ジャーナリストの会」代表

 1951年愛知県犬山市生まれ。愛知県立大学卒業後、毎日新聞社入社。松本支局などを経て、東京本社・生活報道部で主に食の安全、健康・医療問題を担当。「食」をテーマとして活動するジャーナリスト集団「食生活ジャーナリストの会」代表。著書多数。