高齢化時代の相続税対策

コロナ禍で「賃料減免」相続節税の大家が応じた理由

広田龍介・税理士
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 相続対策では、賃貸用不動産を活用する手法が、節税効果が高いために人気がある。だが、新型コロナウイルス感染症の影響で、店子(たなこ=テナント)の店舗などが経営難となり、大家となった高齢者に店子が賃料減免や退去を申し入れるケースも出ている。

 賃貸用不動産を活用する手法が、相続節税として効果的なのは、不動産の時価に対し、相続税評価額を大幅に下げることができるためだ。自分の所有地に建物を建てて人に貸すと、その土地は「貸家建付地」となって評価額が下がり、200平方メートルまではさらに評価額が50%減る「小規模宅地等の特例」もある。

 Yさんも相続対策として賃貸用不動産を活用している。5年前、自己資金と銀行融資2億円で、駅から徒歩5分の好立地にある5階建てビルを購入した。1階が店舗で2階は事務所、3~5階は賃貸マンションとなっている。こうした財産の相続税評価額を抑え、銀行からの借り入れは、賃料収入で返済していく計画だ。

 最近になって、店子の1階店舗から「賃料を50%減額してほしい」と申し入れがあった。新型コロナウイルスの感染拡大で、売り上げが大幅に減ったといい、期間は6カ月とのことだ。

 新型コロナ対策で、政府は、不要不急の外出の自粛を呼びかけ、店舗などには休業や営業時間短縮などを要請した。売り上げが激減した店舗は多く、大家に賃料の一時的な減額や支払い猶予などを求める動きがある。

 Yさんは、何と返事をしたらよいか迷った。店子からの家賃収入は1階店舗が一番高く、銀行への返済原資として当てにしている。その賃料の50%減はかなり痛い。断れるものならば断りたいのが本音だ。

 だが、店子の厳しい状況は十…

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広田龍介

税理士

1952年、福島県いわき市生まれ。85年税理士登録。東京・赤坂で広田龍介税理士事務所を開設。法人・個人の確定申告、相続税申告、不動産の有効活用などを中心に幅広くコンサルティング活動を続けている。相続税に関する講演やセミナーも開催している。