経済記者「一線リポート」

コロナ第2波も「安倍政権の医療物資確保」は万全か

工藤昭久・毎日新聞経済部記者
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新型コロナウイルス感染拡大で医療物資について企業経営者とテレビ会議をする安倍晋三首相(手前)=首相官邸で2020年4月15日、竹内幹撮影
新型コロナウイルス感染拡大で医療物資について企業経営者とテレビ会議をする安倍晋三首相(手前)=首相官邸で2020年4月15日、竹内幹撮影

 今回の新型コロナウイルスの感染拡大をめぐっては、マスク、医療用ガウン、人工呼吸器などの医療物資が不足した。安倍政権は今回の反省から、これら医療物資の供給体制の見直しを進めている。

 これから世界的に感染拡大の第2波、第3波が起きる可能性は否定できない。今後の動向次第では、各国が医療物資の輸出規制などの囲い込みに動くことも予想される。

 政府は医療物資を「安全保障上、重要な物資」と位置付け、パンデミック(世界的大流行)の際にも不足させない効果的な方策について検討を続けている。

 コロナ危機を受け、経済産業省は5月下旬、通商や貿易政策を話し合う審議会を開いた。ここでは、自国を過度に優先する保護主義的な動きの加速を懸念する声が上がった。

 各国が緊急時に輸出規制などの対応をとることは、仕方ない面もある。審議会では、医療物資の国内生産体制の強化とともに、中国など特定国への依存度を引き下げて、複数の国や地域から必要な物資を調達できるよう供給ルートを分散化しておく必要性が指摘された。

 世界貿易機関(WTO)によると、今年4月下旬時点で、防護服、ゴーグル、人工呼吸器などの輸出制限を行った国・地域は80に上った。こうした余波で、コロナの感染者が増加した国内の多くの医療現場で医療物資の不足が顕在化した。

 浮き彫りになったのは、医療物資の海外依存度の高さだ。医療用ガウンやマスクは、中国や東南アジアに大半を依存している。人工呼吸器も欧米や中国からの輸入が9割を超える。

 そのため、安倍晋三首相は異業種からの参入を促したり、医療物資の増産や調達体制の強化を経済界に要請したりするなど、対応に追われた。政府関係者は…

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工藤昭久

毎日新聞経済部記者

 1974年生まれ。立教大学法学部卒。生命保険会社勤務を経て、2000年毎日新聞社入社。静岡、浜松支局を経て04年から東京経済部。財務、総務、経済産業、農林水産などの中央官庁や産業界、金融業界、財界などを幅広く取材。18年4月から大阪経済部編集委員として関西経済を取材。20年4月から経産、農水両省、エネルギー業界の取材を束ねるキャップ。