いま地球環境を考える

日本は「グリーン度ゼロ」脱却しポストコロナ社会を

小西雅子・WWF(世界自然保護基金)ジャパン専門ディレクター
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猛暑日の中、日傘を差して歩く人たち。コロナ禍からの経済復興には温暖化防止の政策も求められている=福岡県久留米市で2020年6月8日、徳野仁子撮影
猛暑日の中、日傘を差して歩く人たち。コロナ禍からの経済復興には温暖化防止の政策も求められている=福岡県久留米市で2020年6月8日、徳野仁子撮影

 新型コロナウイルスの影響で経済活動が停滞したため、世界的に大気汚染が改善し、二酸化炭素(CO2)の排出量も減少しました。ポストコロナで目指すべきは「旧来の日常への復帰」ではなく、環境や人権等にも配慮した「グリーン・リカバリー」と呼ばれる新たな経済回復です。

 欧米を中心に化石燃料から再生可能エネルギーにシフトするなど、経済回復と環境の両立を目指す「グリーン・リカバリープラン」が、コロナ禍を機に登場しています。

 では、日本はどうでしょうか。世界各国の経済対策の「グリーン度」(環境重視度)を評価する「ビビッドエコノミクス」と呼ばれる英国の独立系研究機関によると、日本の経済対策のグリーン度は皆無です。

 フランスは政府が航空業界を支援する条件として、CO2削減目標や環境に配慮した代替燃料への転換などを求めています。しかし、日本政府が民間企業を支援する場合、環境重視の条件などの具体策は見当たりません。

 新型コロナウイルス感染症とともに、地球温暖化は人類共通の危機であることは言うまでもありません。日本でも猛暑や洪水など異常気象が頻発しています。これから深刻化していく温暖化と共存する社会に作り変えていくことは、日本の将来のためにも不可欠です。

 今年から本格始動した地球温暖化対策の国際ルール「パリ協定」は、産業革命前からの世界の平均気温上昇を2度未満、できれば1.5度に抑えることを目指しています。

 国連をはじめとした世界の著名な国際機関や投資家グループは、コロナからの復興を目指す各国の経済対策がパリ協定を堅持し、「持続可能な回復」となるよう求めています。

 キーワードとなるのが「持続可能性」です…

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小西雅子

WWF(世界自然保護基金)ジャパン専門ディレクター

 神戸市生まれ。米ハーバード大修士課程修了、法政大博士(公共政策学)。中部日本放送アナウンサーなどを経て、2005年に国際NGOのWWFジャパンへ。地球温暖化防止の国際交渉などで施策提言を行う。15年から昭和女子大特命教授を兼務する。東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会街づくり・持続可能性委員会委員、環境省中央環境審議会委員なども務めている。