身近なデータの読み方

ウィズコロナ時代におさえておくべき「電車の混雑率」

篠原拓也・ニッセイ基礎研究所主席研究員
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緊急事態宣言解除から一夜明け、マスク姿で通勤する人たち=2020年5月26日、宮武祐希撮影
緊急事態宣言解除から一夜明け、マスク姿で通勤する人たち=2020年5月26日、宮武祐希撮影

 データや数字は日常的に目にするものです。ただ、その読み取り方を知らないと、うまく意味をつかむことができません。ニッセイ基礎研究所主任研究員で統計に詳しい篠原拓也氏が、ニュースや広告などを題材にデータや数字から、その本質を見抜くポイントを解説します。

 新型コロナウイルス感染症は緊急事態宣言が解除されて、第2波に備える段階に入っている。「ウィズコロナ」の新しい生活様式では「3密」を避けることが基本となるが、都市部では、通勤・通学時の電車などの交通機関の混雑に注意が必要だ。

 6月15日時点で朝ラッシュ時の主なターミナル駅の自動改札出場者数は、感染拡大以前と比べて首都圏は62%、関西圏は75%まで戻っている(内閣官房ホームページ「新型コロナウイルス感染症対策」)。そもそも電車の混雑状態は、どのように数値でとらえられるだろうか。今回は、電車の混雑率、乗車率について考える。

 ひと口に混雑状態といっても、通勤電車と特急列車で表し方が異なる。

 通勤電車の場合、輸送人員を輸送力で割り算した「混雑率」で表す。輸送人員は一定の時間帯に実際に乗車した人数で、輸送力はその時間帯に運行する電車の定員を合計した人数だ。

 ラッシュ時の混雑率を下げるには、電車1編成の車両数を増やしたり、2階建て車両を導入したりして、輸送力を増やすことが考えられるが、これは簡単なことではない。そこで鉄道各社は、運転間隔を短くして、電車の本数を増やすことで対応している。

 混雑率が高ければ乗客が多いことになるが、どれほどの混雑状態を表しているのかがわかりづらい。

 そこで国土交通省は、ホー…

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篠原拓也

ニッセイ基礎研究所主席研究員

1969年、東京都生まれ。早稲田大理工卒。92年、日本生命入社。2014年から現職。保険事業の経営やリスク管理の研究、保険商品の収益性やリスクの評価、社会保障制度の調査などを行う。公益社団法人日本アクチュアリー会正会員。著書に「できる人は統計思考で判断する」(三笠書房)がある。