熊野英生の「けいざい新発見」

コロナ禍でも「日米株価はリバウンド」のナゾを解く

熊野英生・第一生命経済研究所 首席エコノミスト
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NYダウと日経平均の株価が大きく下落したことを示すボード=東京都中央区で2020年6月12日、梅村直承撮影
NYダウと日経平均の株価が大きく下落したことを示すボード=東京都中央区で2020年6月12日、梅村直承撮影

 このところ、株価の上昇が少し速すぎないかという懸念があったが、日米の株価は6月中旬から乱高下を始めた。新型コロナウイルスの感染拡大前の水準に戻りつつあった株価は、底流でいったい何が起きているのか。

 ニューヨークダウは、2月12日の直近の高値2万9551ドルから、3月23日に1万8591ドルで底値をつけ、6月12日には2万5605ドルまで戻した。日経平均株価も直近の高値は1月20日の2万4083円。そこから急落したが、3月19日には1万6552円で底値をつけて反転し、4月末には2万円台を回復。6月12日は2万2305円まで戻している。

気になっていた株価と実体の乖離

 筆者は株価の予測はしていないが、4~5月はずっと二番底の可能性があると考えていた。正直に言って、少し前までは株価の見通しは大外れであった。

 実体経済がコロナ危機前に戻るまで少なくとも2~3年はかかるとみられるのに、株価だけが将来の企業収益について強気を見込み、コロナ前の水準近くに戻るというのは違和感があった。

 マクロ経済環境は明らかに悪く、現在の株価の戻りは、日米の中央銀行の大胆な金融緩和だけでは説明できないとみていた。ただ、「実体経済と株価が乖離(かいり)しているから、いずれ株価は下がる」とまでは明言できなかった。

5月の米雇用統計は悪くなかった

 日米株価の動きをみると、投資家を強気にさせていた要因として、6月初めの経済統計の発表に注目したい。“ポジティブ・サプライズ”だったのは、6月5日に米労働省から発表された5月の米雇用統計だ。非農業部門の雇用者数は、前月比で250万人の増加だった。事前予想は減少だったが…

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熊野英生

第一生命経済研究所 首席エコノミスト

1967年山口県生まれ。横浜国立大学経済学部卒業。90年、日本銀行入行。調査統計局などを経て、2000年、第一生命経済研究所入社。11年4月から現職。専門は金融政策、財政政策、金融市場、経済統計。