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米暴動で見えた大統領選の争点「強い国vs平等な国」

古本陽荘・毎日新聞北米総局長
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ホワイトハウス前の路上を埋めた抗議デモ参加者=ワシントンで2020年6月6日、高本耕太撮影
ホワイトハウス前の路上を埋めた抗議デモ参加者=ワシントンで2020年6月6日、高本耕太撮影

 11月の米大統領選は異例ずくめの展開だ。新型コロナウイルスの感染拡大で選挙集会は事実上封印され、大統領候補を正式に決める8月の共和、民主両党の全国党大会の運営方針も決まっていない。さらに、5月25日に中西部ミネソタ州で起きた白人警察官による黒人男性、ジョージ・フロイドさん(46)の拘束死事件が大きな影響を及ぼすことになりそうだ。

 事件への抗議デモは全米に広がった。都市では大規模な抗議集会が連日開かれている。夜間外出禁止令が発令され、治安維持のために州兵も出動している。

 このような緊急時には、大統領はホワイトハウスのオーバルオフィスからテレビ演説するのが通例だ。国民に融和や和解の重要性を訴え、危機から脱するよう導くためだ。だが、トランプ大統領はその道を選ばなかった。

 6月1日には、ホワイトハウス北側の道路にいた平和的なデモ隊を強制的に排除した。首都ワシントンには、夜間外出禁止令が出ていたが、適用は午後7時からだった。催涙弾などを使ったデモ隊の強制排除は、午後6時半過ぎに始まった。排除する法的根拠は定かではなかった。

 しかし、すぐに理由が判明する。トランプ氏はデモ隊を排除したちょうどその頃、ホワイトハウスのローズガーデンで声明を読み上げていた。暴力的なデモには州兵を動員するよう州知事に求めた。“手ぬるい知事”のいる州には自ら「(連邦政府の管理下にある)米軍を派遣して問題を速やかに解決…

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古本陽荘

毎日新聞北米総局長

1969年生まれ。上智大文学部英文科卒、米カンザス大大学院政治学修士課程修了。97年毎日新聞入社。横浜支局、政治部、外信部を経て2018年12月から北米総局長(ワシントン)。