海外特派員リポート

成長率目標「公表せず」はいつ以来?中国統計のナゾ

赤間清広・毎日新聞中国総局特派員(北京)
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当初の予定より遅れて開かれた中国の全人代=北京市の人民大会堂で2020年5月22日、新華社
当初の予定より遅れて開かれた中国の全人代=北京市の人民大会堂で2020年5月22日、新華社

 「新型コロナウイルス感染症と経済・貿易の情勢においては不確実性が非常に強い。我が国の発展がいくつかの予測困難な影響に直面している」

 新型コロナの影響で3月から延期していた全国人民代表大会(全人代=国会)が5月22日、北京の人民大会堂で開幕し、28日に閉幕した。中国の李克強首相は施政方針に当たる政府活動報告でこう説明し、毎年公表してきた経済成長率目標を「提示しない」と明言した。

 計画経済の流れをくむ中国では、政府が設定した目標に沿って、あらゆる政策が組み立てられる。今年も財政赤字幅や新規就業者数、物価上昇率など個別の目標は示されたものの、その中核となる成長率目標の設定が見送られるのは「極めて異例」だ。

 習近平国家主席は、もしコロナショックがなければ2020年の成長率目標は「6%前後になっていた」と明かす。

 1~3月期の国内総生産(GDP)成長率が初のマイナスに落ち込むなど混乱が続く中、特定の成長率を目標に据えれば、各地方政府や省庁が達成に向け無駄な公共事業など「ばらまき」に走りかねない。あえて目標を設定しないことで、こうした事態を防ぐ狙いがあるとみられる。

 さて、ここで一つ疑問が生じる。中国政府が成長率目標の公表を見送ったのは、果たしていつ以来のことなのか。少なくとも、ここ30年ほどは毎年成長率目標を公表しているが、そもそも中国政府が成長率目標の公表を始めたのはいつなのか。

 実はこの特定が難しい。日本を含む海外メディアの報道も「1988年」「1990年」「1994年」などさまざまな数字が飛び交った。それぞれの数字には根拠がある。

 まずは88年。政府活動報告とともに全人代に提出される…

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赤間清広

毎日新聞中国総局特派員(北京)

1974年、宮城県生まれ。宮城県の地元紙記者を経て2004年に毎日新聞社に入社。気仙沼通信部、仙台支局を経て06年から東京本社経済部。経済部では財務省、日銀、財界などを担当した。16年4月から現職。中国経済の動きを追いかけている。