高齢化時代の相続税対策

会社への貸付金にも相続税?オーナー社長のうっかり

広田龍介・税理士
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 中小企業のオーナー社長が会社に貸し付けを行っているケースをよく見かける。会社の資金繰りが悪くなった時に、自分の個人財産を取り崩して運転資金として会社に貸し付けるパターンだ。貸し付けが積もり積もって大きな金額に膨らんでいることもある。

 オーナー社長にとって、会社は自分の分身のようなものだから、個人資金を長期に貸したままになっていても、それには無頓着なことが多い。「自分の経営責任で会社がお金を必要としているときに、会社からの給与でためた資金を出しただけだ」と考えている。

 こうした社長と話をしてみると、相続対策については入念に考えていることが多い。節税対策・争族対策・納税資金対策といろいろ検討し、勉強もしている。自分で保有している会社の株価についても関心は高い。決算期ごとに株価の評価を行い、後継者に予定している子供や親族らに株式を贈与している。

 ところが、会社への貸付金は「貸付債権」という自分の財産であるということは、すっかり頭から抜け落ちてしまっているのだ。会社の帳簿上は「借入金」として、負債項目になっているからかもしれない。

 これは困ったことだ。もし、オーナー社長が亡くなった場合、貸付金は他の財産同様に、相続税の課税対象となる。これは会社の経営状態が悪く、返済できない場合であっても同様だ。実質的に返ってこない貸付金に対しても相続税が課税されるということになってしまう。

 あるオーナー社長は会社に約1億円、社長の妻も5000万円を貸し付けていた。相続が起き、相続税の税率が40%とすると、貸付金の相続税額は社長が4000万円。妻は2000万円。貸し付けたままにしていれば、相続税の負担…

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広田龍介

税理士

1952年、福島県いわき市生まれ。85年税理士登録。東京・赤坂で広田龍介税理士事務所を開設。法人・個人の確定申告、相続税申告、不動産の有効活用などを中心に幅広くコンサルティング活動を続けている。相続税に関する講演やセミナーも開催している。