ニッポン金融ウラの裏

「経済安定本部」まねた“コロナ対応本部”の議論を

浪川攻・金融ジャーナリスト
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参院決算委員会で「持続化給付金」事業の給付状況についての質問に答える安倍晋三首相=国会内で2020年6月15日、竹内幹撮影
参院決算委員会で「持続化給付金」事業の給付状況についての質問に答える安倍晋三首相=国会内で2020年6月15日、竹内幹撮影

 新型コロナウイルスは感染の急拡大が収まってきた。抜本的な解決ではないものの、国内に広がった一時の危機的なムードは薄らいでいる。そこで、このタイミングで金融分野における公的セクターのコロナ対応を振り返ってみたい。

 政府はコロナの経済的な影響が深刻化したことを踏まえ、相次いで対策を打ち出した。日本政策金融公庫、信用保証協会、自治体の特別融資をはじめ、事業者に対する持続化給付金、雇用調整助成金といった公的制度の積極活用である。しかし、それらが実際に機能するまでに、かなりの時間がかかった。

 その原因のひとつとして指摘されているのが「危機対策と銘打ったものの、制度やシステムが景気対策の枠組みのままだった」(大手銀行幹部)という点である。融資や給付金の申請にあたり、準備する書類が極めて煩雑で、時間がかかったのがいい例だ。

 これは金融公庫や保証協会に責任を求める話ではない。金融公庫も保証協会も公的機関である以上、規則に従って運営されているからだ。

 政府が初動段階において、今回は景気対策ではなく危機対策だと明確に打ち出すべきだったのではないか。従来の枠を越えて迅速に行うべきものは行い、柔軟に対応すべ…

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浪川攻

金融ジャーナリスト

1955年、東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカーを経て、金融専門誌、証券業界紙、月刊誌で記者として活躍。東洋経済新報社の契約記者を経て、2016年4月、フリーに。「金融自壊」(東洋経済新報社)など著書多数。